「問題あっても暮らし続けたい」=混乱続くベネズエラ市民の声=日本語教師ドゥアルテ・ホセさん

ドゥアルテ・ホセさんとお母さん。今年3月、お母さんの誕生日にアラグア州のドイツ人コロニア「コロニア・トヴァール」を訪ねた際の写真

 ベネズエラ大統領選挙が7月28日に行われ、ニコラス・マドゥロ氏の再選が発表された。だが、ベネズエラ国内では当選結果を不服とする抗議デモが発生し、国際社会からも多く批判が寄せられるなど社会的な混乱が続いている。5日、同国首都カラカスに家族3人で暮らす非日系の日本語教師ドゥアルテ・ホセさん(27歳)に現地の様子を聞いた。

 「この国の未来はあまりよくないと思います。物価は上がり、若者は外国に行ってしまいます」自国の将来について心配気に語るホセさん。
 選挙の翌日からデモが続き、安心して外に出られる状況ではないという判断からホセさんは取材日5日の時点で未だ外出をしていないという。
 インフレも止まらず、ベネズエラ通貨「ボリバル」で物資の購入はほぼできず、米ドルを持っていないと生活が成り立たないという。「外国に家族がいないとドルが手に入りにくく生活が成り立ちません」と話す。ホセさんも国外に家族はいないが、日本語教室の授業料をドルでもらっている為、なんとか生活ができている。
 ベネズエラでは、一人暮らしの生活費に毎月800米ドル程度が必要。ホセさんは毎月約120ドルを食費に使うが、現在はそれだけで他のものは買えなくなる経済状況だという。「水道水は飲めないので、毎週10ドルが飲料水代に消えます。いつ食べることもできなくなるかわからず不安です」と悩みを吐露した。
 ホセさんが働くセントロ・ベネズエラ・ハポネースアカデミーには現在約60人の生徒が在籍し、日本語を学んでいる。しかし、インフレの影響で教科書も値上がりし、生徒は教科書を購入することが出来ない状態となっている。そのため授業はPDF版教科書や先生の教科書をコピーして使って行っている。ベネズエラ日系連盟が運営している教室の為、私立学校ほど授業料は高くないが、経済的事情で辞めてしまう生徒もいるという。
 ホセさんが日本語学習を始めたきっかけは、母親が日本に行く夢を持っており、母を日本に連れて行きたいと思ったから。ホセさんは今月末から半年間、国際交流基金の奨学金を受け、日本での日本語教師研修に参加する。混乱の続くベネズエラだが、ホセさんは「外国で働くことを考えることもありますが、本来ベネズエラは災害もなく本当に住みやすい国。問題があっても私が出来ることはまだまだあるので、今後もベネズエラで暮らしを続けたい。日本で学び、ベネズエラの日本語学習を発展させていきたいです」と展望を語った。

最新記事