〝吸血魚〟として知られる小魚「カンジル(candiru)」が、アマゾン地域の川や湖で涼を求める海水浴客を脅かしている。この魚は血液を餌とする天然の淡水寄生魚で、ペニス、膣、肛門、鼻、耳、口など人間の外部開口部から侵入する能力を持っているという。6日付UOLなど(1)(2)が報じた。
専門家によると、北部ロンドニア州では毎年少なくとも10件のカンジル被害例が報告されている。アマゾン川流域、ラ・プラタ川流域、サンフランシスコ川流域、および東部流域に生息し、濁った泥の多い水域に住んでおり、体が半透明なため、目視で見つけるのは難しいという。
パラ州ベレン市役所の説明(3)によれば、カンジルは体長2・5〜18cm、幅6mmでウナギのような見た目をしており、外皮はツルツルと青みがかった色をしている。小さな目と鋭い骨、頭の周りにある棘が特徴だ。
カンジルは尿や血液の臭いに引き寄せられ、宿主の体のあらゆる穴から入り込み、自身の棘を使って相手の体内にしっかり固定する。一度くっつくと、傘のようなヒレを開いて出口を塞ぎ、体外に排出されるのを難しくする。そして、宿主血を吸いつくす。出血や感染症を引き起こすこともあり、ほとんどの場合、手術でしか取り除くことができないという。
魚類学者のルシア・ピダニエル教授は、数年前にアマゾナス州の内陸部で男性の体内からカンジルを取り出した例について説明した。
「彼がアマゾン川の中で排尿していたとき、ペニスに何かが入ってくるのを感じ、その直後から激痛を抱えるようになったという。彼は地元の病院にも行ったが異常は見つからず、3日目になりついに痛みに耐えられなくなって、州都マナウス市の病院に緊急搬送された。そこで泌尿器科医が彼の陰部に小型カメラを挿入したところ、魚が発見されたのです」と話した。
同教授によると、他の魚や人間の体内に入り込んで血液を吸うカンジルと、それとは異なる生態を持つ「カンジル・アスー(Candiru-açu)」という種類が存在し、こちらは主に魚の死骸や人間の遺体などを食べることで知られている。
通常は主にナマズ科のナマズのえらに寄生しており、人間を襲う例はごくまれとの話もある。だがベレン市役所によれば、カンジルの攻撃から身を守るために、以下のことが警告されている。
陰部を覆う水着を着用せずに泳ぐことは避けるべきで、また知らない場所で泳ぐ前には、その地域についての情報を集めておくことが重要だという。さらに、外傷がある場合や、生理中の女性は水に入らないよう注意が促されている。
もし攻撃を受けた場合は、カンジルを無理に引っ張らず、すぐに医師の診察を受けるべきだとされている。