特別寄稿=文協への公開書簡=金銭を伴なわない道義的賠償請求の提案者=奥原マリオ純

 ブラジル日本文化福祉協会評議員の皆様へ――2024年7月25日に行われたブラジル政府による日本人移民への公式謝罪に関連して、この著名な団体が沈黙を守っていることに当惑と懸念を表明いたします。この歴史的な瞬間は、国内外に広く認識され、反響を呼びました。これは、第2次世界大戦中および戦後に日本人移民とその子孫が受けた深刻な人権侵害を認め、移行期司法における重要な一歩を踏み出したことを意味します。
 このような決定的で記憶に残る審議の1週間後に、ブラジル全土の日系人コミュニティの代表を自任する組織がまだ声を上げていないのは驚くべきことです。
 ブラジル政府の歴史見直しに対する文協の姿勢は、歴史的不正義、人種差別、外国人排斥といった重要な問題に取り組む文協の姿勢に疑問を投げかけるものです。2018年、私が文協に(この運動への)協力を求めたところ、「日本移民100周年を記念した盛大な祝祭は、被った深刻な侵害の十分な証拠である」(「人権侵害を認めているから、あれほど盛大に国を挙げたお祝いをしてくれたのだろう」の意)という理由で断られた。私はこの立場にまったく同意できません。人は憶測では生きていけません。事実は事実として、はっきりと直視することが肝要であり、歴史見直しの日はそれを決定的に証明しました。
 日系ブラジル人コミュニティが受けた人権侵害に関連するデリケートで痛みを伴う問題を、文協が取り上げることが長年にわたり困難であったことは理解しています。しかし、現在の沈黙は、特に日本政府自身がこの問題について発言している状況では、否定的な姿勢と解釈されかねません。この謝罪の妥当性と影響力を考えると、文協の不作為は憂慮すべきものであり、その代表的役割に反するものです。文協はこの歴史的瞬間の重要性を認識し、明確な姿勢を示すことが不可欠です。
 従って、私は文協評議員会に対し、その沈黙を省み、その姿勢を「歴史見直しの日」の指針となった原則、すなわち「正義」「真実」「記憶」と一致させるよう求めます。

サンパウロ 2024 年 8 月 2 日  敬具

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