第62回パラナ民族芸能祭=絢爛20演目で会場魅了=総勢215人で伝統芸能披露

フィナーレで登壇した日系コミュニティ・グループ(提供写真)

 第62回パラナ民族芸能祭が、6月30日から7月11日までパラナ州クリチバ市内のグァイーラ劇場で開催された。7月9日午後8時半からはクリチバ日伯文化援護協会(クリチバ文援協、高山エヴェルソン恵一会長)を中心とした日系コミュニティ・グループによる公演が披露され、冬場の降雨による寒さにもかかわらず、会場には昨年を上回る約1500人の観客が来場。舞台では7歳から93歳までと幅広い年齢層の8グループで構成された総勢約215人が出演し、同祭を盛り上げた。
 同祭には毎年、ブラジルに在住する南米や欧州などの各国移民コミュニティ関係者が出演し、決められた時間内でそれぞれの民族舞踊を競い合う。9日夜の日系コミュニティの公演では、コーディネーターの大嶋裕一氏と長年にわたって舞台監督役を務める久保オルランド氏の事前の指示のもと、日本舞踊、民謡、盆踊り、太鼓、コーラス、よさこいソーラン、沖縄太鼓など2部構成で20演目を披露。日本文化を通じて特に、若者たちの結束を高めることを目的としているという。
 田丸ラウラ氏と大嶋晴男(はるお)氏の司会で進行された同公演は、若葉太鼓の躍動的な『薩摩隼人』で幕開け。会場を盛り上げたところで、日系踊り会による日本舞踊『花の舞扇(まいおおぎ)』で艶やかな和風情緒を表現した。太鼓あり、舞踊あり、歌ありと、他国のコミュニティに比べて多種多彩な雰囲気だった日系コミュニティ。可愛さが目立った民謡保存会の子供たちによる舞踊『りんご節』のほか、民舞愛好会の『日本音頭』では最高齢93歳の石井レツ子さんの踊りに会場は感激した様子だった。
 また、生長の家コーラス部の『雪の降る町を』、日系踊り会の『大江戸祭り囃子』『風流水景色』のほか、琉球國祭り太鼓の『新エイサー節』『琉球音頭』など老若男女の出演者が一体となった舞台が繰り広げられた。

公演後に記念撮影する日系クリチバ龍千多会メンバー(提供写真)

 フィナーレは、出演者全員が参加して沖縄民謡『カチャーシー』を踊った。引き続き、在クリチバ日本国総領事館の三井靖広総領事夫妻、高山クリチバ文援協会長、サンパウロから指導に駆け付けた日系クリチバ龍千多会の花柳龍千多代表らが登壇すると、会場からはひときわ大きな拍手が送られた。
 来場していた100歳の荻津せつ子さんは以前、日本舞踊で舞台に立った経験もあるとし、「とても素晴らしかった。特に、豪華絢爛な衣装で踊った舞踊(『寿(ことほ)ぎ舞扇(まいおおぎ)』)は華やかで綺麗だった」と話していた。
 また、複数の来場者から「年を追うごとに素晴らしくなっている」との声もあったほか、日系コミュニティのスタッフが公演後に劇場関係者から「日系コミュニティの発表の後は、どの国のコミュニティの発表後よりも(会場が)綺麗に片付いており、素晴らしかった」と称賛されたそうだ。
 さらに、出演関係者からは「我々が舞台に出られるのは、照明や音響など裏方役の方々の協力があってこそ」とスタッフへの感謝の気持ちを表す声もあった。

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