岐阜県農業高校生海外実習派遣団がブラジル訪問=「風景に圧倒」「百聞は一見に如かず」

令和6年農業高校生海外実習派遣団の皆さん

 岐阜県内の農業高校の生徒10人および引率の教員2人からなる「第43回農業高校生海外実習派遣団」が7月24日から29日まで当地に滞在し、最終日に編集部を訪れた。海外の農家や農業高校生との交流、農場視察体験を通じて、国際的な広い視点で外国の農業の現実や流通などについて学ぶことを目的とした派遣事業だ。
 岐阜県内の6高校(岐阜農林、大垣養老、郡上、加茂農林、恵那農業、飛騨高山)から2、3年生の男子4、女子6人の生徒が参加。一行は聖州イタペチニンガで砂糖きびアルコール工場やピボット灌漑による大規模ジャガイモ栽培農場、レジストロ市などで水牛牧場、天谷製茶場、お茶畑、ピラルクー養魚場、バナナ園などを視察して、ブラジル農業の理解を深めた。
 大熊渚沙(なぎさ)さん(岐阜農林、16歳)は「バナナ園の敷地がとても広くて驚いた。しかも収穫が手作業で、必要な時に必要な人数しか雇わないという雇用形態に感心した」と述べた。
 大野真嗣(しんじ)さん(同、17歳)は「ピボット灌漑システムを実際に見てみたら想像以上に大きくてビックリ。連作障害にならないように作物を順番に回すコツを聞き、とても参考になった」とうなずいた。
 河本知之さん(同、16歳)は「アルコール工場では砂糖きびの絞りカスを捨てずに発電に利用していると聞き、環境への配慮に感心した」とし、佐野瑠々果さん(るるか、大垣養老、16歳)は「ピラルクー養殖場が面白かった。日本では水族館でしか見られない魚を実際に触り、食べることまでできた。クセがなくてハマチに似ている。から揚げも美味しかった」との感想を述べた。
 丹羽桜月さん(さつき、加茂農林、18歳)は「スーパーマーケットの陳列方法の違いが面白かった。日本で野菜や果物は袋詰めにされるが、ブラジルではそのまま。大きさもバラバラで傷物もあり、自分で好きなものを好きなだけ選ぶスタイル。レストランのポルキロ式(量り売り)も合理的で良いなと思いました」と述べた。
 西尾夏海さん(なつみ、恵那農業、17歳)は「レジストロのお茶畑が日本と同じような規模だったのが意外で興味深かった。ジャガイモの収穫前には除草剤で葉っぱを枯らすのにも驚いた」、遠山幸之助さん(恵那農業、16歳)は「小さな頃から水族館で一番好きだったピラルクーを近くで見れて、触ったりもできて嬉しかった」と述べた。
 松木仁美さん(ひとみ、飛騨高山、17歳)は「黒毛和種を専攻しているので、水牛の体形がゴツゴツして、顔つき、角の付き方などが全く違うことが興味深かった」、小林侑世さん(ゆうせい、飛騨高山、16歳)は、「水牛の大きさ、骨格がすごい。牛乳の乳脂も高く、飲むヨーグルトみたいで、とても美味しかった」と目を輝かせた。
 引率副団長の井ノ浦慎司さん(岐阜農林)は「北海道でも見られないような、遠くまで見渡せる風景に圧倒された。日本ではできない事ばかり見せてもらった」、引率団長の水野歩(あゆみ)さん(恵那農業)も「教科書に書いてある内容を、ここで実際に目の当たりにした。例えば100mのピボットの巨大さは写真では分からない。百聞は一見に如かず。実際に見ることの大事さを痛感した」と述べた。
 一行は7月20日に日本を出発。最初は米国、次にブラジルやオランダを巡り、8日に帰国した。

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