特別寄稿=奥原マリオ純さんへ=ブラジル日本文化福祉協会=山下譲二 評議員会会長=石川レナト 理事会会長

州都サンパウロ
拝啓
 謹んでご挨拶申し上げるとともに、貴殿の公開書簡がフェイスブックに掲載され、その後、当組織宛のWhatsAppに送られたことを知りましたので、以下の通りお知らせいたします。
1. 人権・市民権担当大臣直属の諮問機関である恩赦委員会が、7月25日に開催された請願審査公開会合において、日本人移民とその子孫が第2次世界大戦中に政治的迫害を受けたことを認める決定を下したことを、私たちは十分に承知しています。そして、ブラジルの新聞で広く報道されたように、当時行われた残虐で残酷な行為、偏見、外国人嫌悪、人種差別について、ブラジル政府を代表してエネア・デ・スタッツ・エ・アルメイダ委員長が謝罪しました。
 私たちの先祖が戦争の中で苦難に見舞われたのですから、金銭的な利益を得ることなく道徳的な賠償を求める要望書を、その子孫がブラジルの政府機関に提出するという、あなたのイニシアチブから生じたこの決定によって、私たちは個人的に慰めを感じています。
2. しかしながら、ブラジルの市民団体であるブラジル日本文化福祉協会(文協)の主な使命は、ブラジルにおける日本文化の保存と普及、日本におけるブラジル文化の保存と普及を図り、ブラジルと日本の友好関係を強化することにあります。ブラジルと日本の友好関係を強化するために、私たちは、先駆的な日本人移民に対する敬意と、イタリアの地で戦い戦死した人々(編注=欧州戦線に連合国軍として派兵されたブラジル軍人)と同じように、戦争による苦しみの犠牲となった子供たちを持つブラジル国民に対する敬意から、恩赦委員会の決定について公に発言することは避けたいと考えています。
 だからといって、私たちの声明を否定的な姿勢と解釈することは完全に間違っていると考えます!
3. 最後に、私たちの組織がブラジル政府の歴史見直しについて沈黙していることで、歴史的不公正、人種差別、外国人排斥といった重要な問題に取り組む姿勢に疑問が生じるというあなたの主張に反論します。特に、私たちが1978年から維持・管理している「ブラジル日本移民史料館」では、第2次世界大戦の歴史や、日本人移民とその子孫が受けた迫害の事実が展示されております。また、サンパウロ市役所と共同で運営している「高齢者生活センター-NCI」のような、文協の活動をぜひご覧ください。このセンターは、国籍を問わず100人の高齢者を受け入れ、直接個人的な援助を提供し、サンパウロのリベルダーデ地区に住む80家族にバーチャルな援助を提供しています。
 このように、私たちはこうした問題に対処するだけでなく、未然に防ぐための効果的な活動も行っていると言えます。
 今日、日系ブラジル人コミュニティはブラジル社会の重要な一角を占め、日系人はブラジルの人口に完全に溶け込み、文協およびすべてのコミュニティ組織の究極の目標であるように、あらゆる民族のブラジル人と調和し、友好的に暮らしています。
 以上の通りの意見を表明します。
敬具

ブラジル日本文化福祉協会
山下譲二 評議員会会長
石川レナト 理事会会長

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