今回が6回目5年ぶりの来伯となり、今年7月初旬から約1カ月間にわたってブラジルに滞在したドキュメンタリー映画『オキナワ サントス』などを制作している松林要樹監督の送別会が、7月30日午後4時からサントアンドレ市の新城安昭(あらしろ・やすあき)さん経営の飲食店で行われた。
送別会には、ブラジル沖縄県人会の高良律正会長、島袋栄喜元会長、上原ミルトン定雄元会長、ブラジル沖縄県人移民研究塾の宮城あきら代表のほか、同県人会サントアンドレ支部会員など20人ほどが集まった。
送別会は、去る7月25日にブラジリアの人権市民権省恩赦委員会でブラジル政府が戦中戦後に迫害した日本移民への正式謝罪の祝賀会も兼ねて実施。サントス強制立退き者の名簿を発見し、映画『オキナワ サントス』で残り少ないサントス事件当事者の貴重な証言を記録した松林監督のこれまでの貢献が称えられた。
宮城代表はブラジル政府の正式謝罪の経緯について改めて振り返り、2016年に松林監督が強制立退き者の名簿を発見したことが「(正式謝罪に至る)最初の起点になった」と強調。埋もれていた歴史を互いに協力して記録してきたことを説明した。
自ら沖縄県人会関連のビデオ制作や『群星』発刊等に携わり、16年当初から松林監督に協力してきた嶺井由規(みねい・よしのり)さんは同監督について、「何十年も言えなかったサントス事件被害者の証言や本音を松林さんがどうやって引き出すかに興味があったが、この人はすごいという感じを受けた」と率直な感想を語った。
松林監督は「僕がたまたまサントスで(強制立退き者の)名簿を見つけましたが、数え切れない方々の協力のお陰だと感じています。映画(「オキナワサントス」)が出来て、一連の動きの中で(ブラジル政府の謝罪という)歴史的瞬間を見られたことに感謝しています」と喜びを表していた。