ヴォエパス社航空機が9日、サンパウロ州内陸部ヴィニェードで墜落し、搭乗していた58人の乗客と4人の乗員全員が死亡するという大惨事が発生した。同機に搭乗予定だったが様々な事情で乗れずに、危うく事故を免れた乗客が10人ほどいた。彼らは事故の報道を受けて深い衝撃と共に、感謝の気持ちが入り混じった複雑な感情を抱いていると10日付CNNブラジル(1)(2)が報じた。
ヴォエパス機2283便がサンパウロ州グアルーリョス空港に向けて離陸した9日11時56分頃、出発地のパラナ州カスカヴェル空港で、アドリアーノ・アシスさんが娘に電話をかけ、声を詰まらせながら、「ごめんね、パパはフライトを逃しちゃったんだ。帰りが遅くなるけど、君のこと愛してるよ」と言った。
アドリアーノさんは空港ターミナルに9時40分に到着したが、その時はまだチェックインカウンターは閉まっていた。そこでコーヒーを飲みに出かけ、10時40分に再びカウンターに戻ったが、スタッフから「チェックインは1時間前までに済ませてください」と告げられ、結局搭乗できなかった。彼はグアルーリョスでリオへ向かう別便に乗り換える予定だった。
乗り逃したもう1人のジョゼ・フェリペ・アラウージョさんは「私は航空会社を間違えたんです。ラタン航空で出発すると思い込んでいたんです」と語った。ジョゼさんによれば、約10人の客がカウンターで搭乗拒否され不満を訴え、スタッフと口論になった。グアルーリョスで乗り換え、ピアウイ州のテレジーナに行く予定だった彼は、その後マラニョン州に戻る予定だった。彼はニュースで事故を知り、母親からの電話を受けたという。
「『グアルーリョス行きの飛行機が墜落した』と報道が流れたとき私は震え、立っていられないほどでした。電話をかけてきた母親ともうまく話せず、ただ神様に感謝していました」と振り返った。
皮膚科医のジュリアナ・シウメントさんは、パラナ州カスカヴェルからリオへ向かう予定だったが、父親の頼みで直前にチケットを翌日10日に変更した。父親アルテミールさんから「娘よ、変更できるなら土曜日の午前中に行きなさい。その方が落ち着いているし、安心だ。午後に到着してちょっと休んで、そして様子を見ればよい」といわれた娘ジュリアナさんはその通りにした。
彼女は「とても緊張していて、今も感情が高ぶっています。昨日あの飛行機に乗った友人たちのことを思うと、胸が張り裂けそうです。神様が父にメッセージを送らせたと思います。金曜日ではなく、土曜日の朝に出発するように」と語った。ジュリアナさんはカスカヴェル癌病院(Uopeccan)で働いており、事故の犠牲者には同僚である臨床腫瘍学の研修医二人が含まれている。
ジュリアナさんは「友人を失いました。飛行機に乗っていた人たちの多くは、私の仕事仲間であり友人でした。神がすべての遺族の心を慰め、力を与えてくださいますように。もしかしたら父親も私を失う可能性があったのです」と悲痛な心情を打ち明けた。