食と暮らしがテーマのロードムービー『HAPPY SANDWICH~幸せのサンドウィッチ~』(岸本司監督、2023年公開、株式会社やんばる共和国配給)が13日、サンパウロ市のブラジル沖縄県人会(高良津正会長)本部で上映された。火曜の夜にも関わらず、300人以上が来場し、会場はいっぱいとなった。この日を皮切りに、エグゼクティブプロデューサーの大朝將嗣さん(沖縄県国頭郡東村)と妻のまりあさん(新潟県)の約2カ月に渡る北南米、ヨーロッパの9カ国上映会の旅が始まった。
上映開始前に挨拶に立った大朝さんは「世界のうちなんちゅーに届けるという夢があり、本作は10カ国語に翻訳しました。そして本日が最初の上映会になります」と語った。まりあさんは「普段、沖縄の文化といえば三線や踊りですが、今回はやんばるに住む普通の人の食べ物と暮らしを届けていきます」と話した。その後、沖縄県人会から、大朝さんに記念プレートと記念品、花束の贈呈が行われた。
本作は、沖縄島北部のやんばる地域の綺麗な海や自然が目を引く作品だ。物語は、主人公が同地域を中心に神に捧げるにふさわしいサンドウィッチのヒントを求め、人々を訪ね、リアルな「食」と「暮らし」の中からヒントを探していく。上映中は、あまりにも美味しそうな食べ物が続出するため、観客からも声が漏れた。
夫のスミオさん(1世)が東村出身という知念ソニアさん(65歳、3世、福岡)は「自然と健康には深い関係があることを改めて気付かされました。映画を見て、ズッキーニを中心としたブラジル食材を使ったサンドイッチを作りたくなりました」と笑顔で語った。
上映会後、大朝夫妻が本紙の取材に応えた。今回の9カ国上映会は、入植70周年を迎えるボリビアに住む先輩の「映画を持ってくれば」という何気ない会話から始まったと明かし、映画制作時からあった「世界のうちなんちゅーに映画を届けたい」という想いが原動力となり実現したと語った。「ブラジルやボリビアまで行くなら、世界のブルーゾーン(世界の長寿地域)を訪ね、沖縄と同じものを感じるのか、また、食を中心とした課題をどう捉えているのかを見ていきたい」と話した。
まりあさんは「食の課題は世界共通で、3世代前の暮らし、戦後、今の子どもたちを比べると食生活は違う。食生活の変化をどう伝えていくかが問題」と語り、「心と身体の両方があっての健康と気づきました。健康を維持していくのに食は欠かせません」と話した。
最後に今回の旅の楽しみを將嗣さんに聞くと「あなたならどんなサンドイッチを作りますかと尋ねていきたいです。ぜひ各地で楽しんで観ていただければ」と微笑んだ。
18日(日)にはボリビア・オキナワ移住地日ボ協会で、22日(木)はペルー・リマで上映会の予定。