本来の実力を発揮できず、やきもきさせるサッカーのブラジル代表(セレソン)だが、試合を離れたところでは、セレソンの将来が非常に楽しみになるニュースが続いている。
一つ目は、18歳の神童・エンドリックが25日、レアル・マドリッド移籍後初の欧州公式戦となる対レアル・ヴィジャドイド戦(ラ・リーガ)でいきなり得点を決めたことだ。
エンドリックに与えられた時間はわずか10分。試合は2対0でほぼ勝ちが決まっていた状況だったことから、「新人を試合に慣らすため」に投入されたと見られる。
だが、エンドリックはやってきた1回のチャンスを逃さずにものにした。ペナルティ・エリアの右隅でボールを受け取った彼は、右方向へドリブルし、右足でシュートを放った。エンドリックの利き足は左。キーパーはゴール右側に寄っていた。シュートは鋭い弾道で、キーパーとゴールポストのわずかな隙間を通って見事に決まった。
エンドリックといえば、テクニックやスピード、パワーはもちろんのこと、物怖じしないふてぶてしさと若さに似合わない驚異的な決定力が持ち味だ。すでにセレソンにも召集されている彼は17歳での時点ですでに3得点。しかもそれはイングランドやスペインといった強豪国からあげたもの。大舞台での強さには舌をまくばかりだ。
二つ目のニュースの主役は、そのエンドリックが先月まで所属していたパルメイラスのニュースター、17歳のエステヴォンだ。
筋骨隆々のがっしりした体格のエンドリックとは対照的なあどけなさの残る細身体型のエステヴォンだが、いざドリブルをすると、国内屈指クラスの速さで縦横無尽、予測のつかない動きでチャンスをつかむ。早くも常勝パルメイラスに不可欠な中心選手となり、23日には初のセレソン入りが決まった。24日に行われた全国選手権のクイアバー戦では2得点2アシストの大活躍。現在、同選手権のスコアランキングでは得点で3位、アシストで1位と破格の活躍を見せている。
セレソンファンからは、エンドリックをロナウド、エステヴォンをロナウジーニョに見立て、2002年W杯優勝の立役者となったコンビと比べる声が出ている。当時は「Rの時代」と呼びならわしたものだが、これからはさしずめ「Eの時代」か。
もし、この2人の神童が順調に成長してくれれば、セレソンは次回2026年だけでなく、2030、34年、あわよくば38年と、先4回分のW杯が楽しみになる。すくすくと育つことを願いたい。(陽)