パラ五輪開幕初日に金獲得=なぜブラジルは強国とされるのか

重量挙げの選手たち(Foto: Isabella Vergani/CPB)
重量挙げの選手たち(Foto: Isabella Vergani/CPB)

 パリ・パラ五輪が28日から開幕し、競技初日の29日、水泳選手ガブリエル・アラウージョ(22歳)が100m背泳ぎ(運動機能障害S2)で優勝し、ブラジル初の金を獲得した。タイムは1分53秒67だった。彼は前回の東京大会で銀を獲得しており、2回目の五輪メダルとなった。
 2008年の北京パラリンピック以降、ブラジル代表はメダル獲得数で常に上位に位置し、東京大会では合計72個を獲得、総合順位7位にランクインした。
 今パリ大会において、ブラジルは280人という史上最大の代表団を派遣している。ブラジル・パラリンピック委員会(CPB)の目標は、前回の東京大会で獲得した72個のメダルを上回ることであり、70〜90個のメダルが期待されている。
 最も期待値が高い種目は陸上であり、シッティングバレーボールやブラインドサッカーのチームもメダル獲得が有力とみられている。個人では、水泳のカロル・サンチアゴ、陸上のペトルシオ・フェレイラ、柔道のアラナ・マルドナードが注目されている。
 一方、通常五輪のメダル獲得数は、北京、ロンドン、リオ、東京の4大会を合わせても合計74個にとどまっている。なぜブラジルがパラ五輪の強国とされるのか、28日ドイチェ・ヴェレ(1)が報じた。
 近年のパラ五輪選手の成功にもかかわらず、障害を持つブラジル人たちは依然として日常生活において多くの困難に直面している。
 2022年の全国家庭サンプル調査(Pnad)継続版によれば、ブラジルには約1860万人の障害者がおり、これは人口の8・9%に当たる。障害者の識字率は19・5%であり、障害のない人々の4・1%と比べて高い。教育面では障害者のうち高卒者は25・6%であり、障害のない人々の57・3%に対して大きな差がある。
 労働市場においても障害者の雇用率は26・6%であり、全体の60・7%と比べて著しく低い。障害者の平均収入は、健常者より3割低い1860レアルであり、大きな格差が存在する。
 こうした厳しい現実があるため、多くの障害者はサポートが充実するスポーツに目を向けることになるという。ブラジルではスポーツでの成功により人生を変えるケースがよくあるが、これは障害者についても同じだ。
 CPBの副会長であり、六つのパラリンピック・メダルを持つヨハンソン・ナシメント氏は、「ブラジルは障害者に対する文化的、教育的な面ではまだ長い道のりがあるが、スポーツ面では非常に有望な方向に進んでいる」と述べた。
 2001年に成立したアグネロ・ピバ法により、連邦宝くじの収益の一部が五輪パラ五輪の両委員会に分配されるようになり、CPBはカイシャ銀行の宝くじの0・9%を受け取ることができるようになった。
 企業からの支援も重要で、アシックス、ブラスケン、アヴァイアナス、トヨタなどがスポンサーとして貢献し、味の素やマックス・リカバリーなどが選手を支えるためのプロジェクト支援を行う。このようなサポートネットワークにより、インフラ投資とスポーツ発展が進められているという。
 2016年のリオ大会も国内スポーツの発展を促進し、サンパウロ市に建設されたパラリンピック・トレーニングセンターは、15競技のための屋内外施設を備えており、大会最大の物理的遺産といわれる。
 CPBは2017年から戦略計画において、障害者スポーツの発展を促進するためのリファレンスセンターを全国72カ所に設置した。これにより、全国で障害者スポーツが広がり、4万人以上の子どもたちが初めてパラリンピックスポーツに触れる機会を得ている。

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