琉球民謡保存会ブラジル支部(城間伸明支部長)の創立30周年祝典と民謡の祭典が8月25日(日)午後、沖縄県人会本部大サロンで開催され、約300人が集まり盛大に祝った。当日は、教師や協力者への感謝状と新しい教師への免状が手渡された。日本から派遣された新垣恵さんによる演奏に加え、サンパウロ州各地で教室が開かれ毎週研鑽している成果が披露された。
最初に先亡者に黙祷が捧げられ、城間支部長が「現在ではコロナも落ち着いて前の活動に戻っており、民謡コンクールの優勝者を沖縄の本部の民謡祭典に出場させております」と挨拶し、伊波正忠実行委員長は、開催に協力した関係者に感謝の言葉を述べた。
沖縄本部の久高友吉会長の挨拶文は、新垣さんが代読し、「異郷にいて、初めて郷土の音楽のよさが分かったという話をよく耳にします。それは私たちの意識の底に眠っていた故郷のリズムや音色が全身で共鳴しあったことによる〝目覚め〟の一種であると私は確信します」とし、沖縄民謡を通して遠くブラジルにウチナー魂が受け継がれ、「重みのある30周年を迎えることができたものと感激しております」との喜びを言葉を伝えた。
高良律正県人会会長が祝辞を述べた後、亡くなった教師の遺族への感謝状、高齢師範と教師への感謝状、協力者への感謝状、新垣恵さんへの感謝プレートなどがそれぞれ贈られた。
最後に新任の教師に免許が授与された。新里春枝さんは「節目の年に教師免状を頂けて嬉しい。先輩教師の皆さんと手を取り合ってがんばりたい」、安村ファビオさんは「舞台に照明が当たると物語が始まる。そこに自分が立っていることに感激する。私はまだ学んでいる最中だが、沖縄文化普及に貢献できることが嬉しい」、大城アマンダさんは「今まで私に与えてくれた教育、バウルーまで教えに来てくれた教師に、応援してくれた友人に感謝します」、西川アウバロさんは「私はウチナーンチュでないが、叔母の影響からここまでやってきた。教師になった責任の重さを感じてる」と述べた。
民謡の祭典となり、師範や教師、城間和枝琉球舞踊道場、琉球國祭り太鼓、ニーセーター保存会らの後、新垣恵さんによる特別演奏が披露された。特別参加として太圭流華の会伊集ジュリアナ琉舞練場による北東伯の名曲「アザ・ブランカ」を沖縄民謡風にした演奏、斉藤悟琉舞道場の舞踊と若手教師による演奏で「毛遊び」が舞台で繰り広げられ、最後は客席も一体になってカチャーシーが踊られた。
11年ぶりに来伯した新垣さん(52歳、沖縄出身)に感想を聞くと「以前は年配の先生が一杯いたが、今は若手の演奏家が多い。伝統がちゃんと受け継がれていると感じる。ブラジル人で参加する人も以前より増えた。11年前より演奏も踊りもレベルが上がっている感じがする。皆さん三線も上手で、まるで沖縄にいるみたい」と笑顔を浮かべた。
城間会長(83歳、沖縄県出身)は「予想以上に来場者が多く、ビックリした。パンデミアで一度減ったが、盛り返している。4世、5世、ブラジル人の若い人が芽を出してきて、今まで以上にブラジルに根付いてきた」との手ごたえを感じたという。
初来場したという城間ミエコさん(89歳、沖縄県出身)は「保存会で活動している姪に誘われてきました。親兄弟がよく歌っていた懐かしい曲の数々が聞けて良かった。曲にまつわる楽しいこと、寂しいことを思い出しながら聞いています」としみじみ語った。