茨城=ブラジル人学校CF成功=216人395万円支援=「言葉にできない喜びと感謝」

CF成功の喜びと感謝を語る上村校長

 茨城県常総市のブラジル人学校「Escola Opção」(上村まゆみ校長)が生徒送迎用バス3台を買い替えるために立ち上げたクラウドファンディング(CF=ネット募金)企画が8月8日に支援募集締め切り日を迎えた。同校は目標金額380万円に対し、395万円を集め、見事CF企画を成功させた。12日、オンライン取材に応じた上村校長は「言葉に出来ないほどの喜びと感謝を感じています」支援者らへの感謝を語った。
 同校には現在0~18歳の日系ブラジル人子弟約100人が在籍。2015年に購入した中古の通学バス3台は生徒の約8割が利用しているが、既に走行距離は50万キロを超え、安全面の懸念から買い替えが必要となっていた。
 同校の経営は生徒の授業料だけで行われており、通学バスをはじめとする学校設備更新費用を捻出できるほどの財政的余裕はなかった。以前からCF企画による支援募集案はあったが、学校内にCFのノウハウを持つ者がおらず、見送りとなっていた。
 今回のCFは同校日本語教師の壱岐、鶴井先生が主導した。上村校長は「2人は子供たちと密接に関わる立場。バスを買い替えることは子供たちの安全を守ることであり、CF未経験ながら熱心に企画成功の為に取り組んでくれました」と感謝を語る。
 CF企画成功により、10人乗りのワゴン車2台を購入できる見込みとなった。現在使用している1台も継続使用する。支援金は10月中に振り込まれ、新たな通学バスは早ければ今年中に使い始められる予定だ。
 支援金が目標金額に達したのは7日午後6時18分、上村校長が子供たちを送迎バスに乗せて学校から見送った直後だった。壱岐先生から目標達成のメール連絡を受け取った上村校長は喜びの涙を抑えながら、すぐに保護者たちにも吉報を共有した。翌日、登校してきた子供たちは「これはもう奇跡だね!」とCFの成功を喜び、保護者からは電話で「おめでとう!ここ数日はオリンピックを応援するようにCFの成功を祈っていた」と祝福の連絡があったという。
 CF企画への挑戦を始めてからしばらくは支援金が集まらない時期が続き、焦りや不安が募った。同企画はCF支援サイト「READY FOR」上で実施され、プロジェクト方式に「All-or-Nothing方式」を採用したことから、目標金額不達の場合、寄付金の一切を受け取ることが出来ないことになっていた。
 停滞状況を打開するため、賞品付きチャリティーくじ企画を実施し、くじ企画の広報活動にあわせてCF企画の情報拡散を進めた。学校関係者伝いに支援協力の呼びかけ拡散を続け、本紙での記事掲載にも繋げた。上村校長は「在日日系伯人コミュニティにCF文化が浸透していないこともあり、支援者の多くはブラジルと所縁を持つ日本人の方でした。現状、ブラジル人学校がCF企画を成功させるには多くの日本人の方にCF企画を知ってもらうことが重要だと思います」と振り返った。
 同校では生徒たちの学習環境を改善するため、新たなCF企画を立ち上げる予定だ。上村校長は「CFに協力してくれた全ての方に感謝を伝えたい。引き続き子供たちのために頑張っていきますのでご支援お願いします」と語った。

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