ブラジル独立記念202周年=映画に見る皇帝や民衆の苦悩=様々な視点から現代と比較

肖像画「独立か死か」

 「独立か死か!」―1882年9月7日、ドン・ペドロ(後のドン・ペドロ1世)がイピランガ川のほとりで叫んで、独立宣言をした。それから今年で202周年を迎える。ドン・ペドロ1世の独立宣言を元に多くのフィクションやドキュメンタリー映画が数々世に出された。独立記念日を記念してブラジルの独立運動がよくわかる映画を紹介していく。

▼『独立か死か(Independência ou Morte)』(1972年)
 カルロス・コインブラ監督が制作した本作品は、ドン・ペドロ1世がポルトガル王位を退位する日から始まる。ナポレオン軍勢から逃れていた家族がポルトガルに到着してから、ドン・ジョアン6世がポルトガルに戻り、ブラジルの摂政王子になるまでが描かれる。さらにこの作品は、ペドロ1世がポルトガルの敵対者たちから「坊ちゃん」と呼ばれ、問題視されていた政治状況を描いている。Youtube(https://www.youtube.com/watch?v=sYM9RIp-IPA)で視聴可能。
▼『独立までの道のり:道で叫ぶ(Caminhos da Independência: o Grito nas Ruas)』(2012年)
 TVブラジルと3人の専門家が共同で制作したドキュメンタリー映画だ。彼らは15年以上にわたってブラジル、ポルトガル、アメリカの図書館で独立に関する調査を行った。この調査に基づいて、独立時に民衆の代表として活躍した人物にスポットを当てている。中でも、バイーア州レコンカーボ地方の団体が果たした重要な役割を紹介している。Youtubeで視聴可能。
▼『ボニファーチョ:ブラジルの創始者(Bonifácio: O Fundador do Brasil)』(2018)
 ホセ・ボニファシオ・デ・アンドラーダ・シルバを題材にした作品。ブラジル独立にあたって、最も重要な人物の一人だ。ホセ・ボニファシオは科学者兼哲学者で更に戦略家として当時活躍した。マウロ・ヴェントゥーラ監督によるこの映画は、歴史家たちへのインタビューを通して、「独立の総大将」として知られるようになった彼の生涯を描いている。Youtubeで視聴可能。

ペドロの旅(Imagem: Reprodução digital | Vitrine Filmes)

▼『ペドロの旅(A viagem de Pedro)』(2021年)
 ブラジルの初代皇帝の人生と最初のブラジル史となる独立にまつわる出来事を、ライス・ボダンズキ監督によって描かれた作品だ。1831年にブラジルの王位を退位し、家族を連れ、ポルトガルに戻ったドン・ペドロ1世は、自身の国の運営に対する成功と過ちを振り返り始める。また本国帰国時に、わずか5歳の息子ドン・ペドロ2世をブラジルに残したことによる情緒不安定など、彼の人生における繊細な問題に触れている。
 更に細かい表現により、ドン・ペドロ1世がポルトガルに対する裏切りの感情や、明確な祖国を持たない者としての資質とどのように向き合っていたかを知ることもできる作品となっている。アマゾンプライム、Youtube等で視聴可能。
▼『記録映像が語るブラジルの独立(A Independência do Brasil Narrada pelos Arquivos)』(2022)
 2022年のブラジル独立200周年記念式典の際に発表されたこのドキュメンタリーは、ワルモール・パンプローナ監督・脚本によるもので、写本、動画、エリエゼル・ピレス・ダ・シルヴァやレナータ・ヴァーレといった歴史家のインタビューを通して独立の物語を語る。
 貴重な証言や文書に基づき、マリア・レオポルディナ皇后の帝国憲法への宣誓など、歴史の魅力的な事実を観客に伝え、この日を記念したキャンペーンや、当時の帝国の首都リオデジャネイロの様子を映像で紹介する。Youtubeで視聴可能。
▼『これは何だ?(O Que É Isso, Companheiro?)』(1997年)
 1969年ブラジル軍事政権下で起きたアメリカ大使チャールズ・エルブリックの誘拐事件を題材にした作品。ブルーノ・バヘート監督による本映画は、独裁政権に対する抵抗運動の緊張感と、若者たちが命をかけて自由を求める姿を描かれている。Youtubeで視聴可能。

現代のマニフェストの様子、サンパウロMASP前

▼『プロセス(o processo )』(2018年)
 マリア・アウグスタ・ラモス監督が、ジルマ・ルセフ大統領の弾劾プロセスを詳細に描いていた作品。弾劾の背景にある政治的な駆け引きや、国民の分断、そしてブラジルの民主主義が直面している脅威について深く掘り下げている。以前までネットフリックスで視聴可能だったが、現在はアップルTV等で視聴可能とのこと。

 

バクラウ

▼『バクラウ地図から消された町(Bacurau)』(2019年)
 ジュリアノ・ドネルス監督とクレベール・メンドンサ・フィリオ監督による共同作品。地図から消された小さな村「バクラウ」が、外部からの脅威に立ち向かう姿を描いた映画。社会的な不公正や外部の圧力に対する地方コミュニティの抵抗をテーマにしている。
 村が直面する外部の脅威は、独立時にブラジルが経験した植民地主義との闘争を象徴的に描いており、独立後も続く外的圧力に対する抵抗を示しているように捉えられる。2021年、日本でも公開され話題となった作品。アマゾンプライム、Yotube等ブラジルの多くのストーリミングで視聴可能だ。

【参考サイト】https://www.opovo.com.br/vidaearte/2023/09/08/5-filmes-e-documentarios-para-entender-a-independencia-do-brasil.html

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