記者コラム=在日日系子弟のために留学=ジョゼ・マテウスさん

富山県で活動していた時のマテウスさん(本人提供)

 2024年度国費留学生(MEXT)として東京学芸大学に留学する教師のジョゼ・マテウス・ヴァレス・ドス・サントスさん(34歳・サン・ヴィセンテ出身)は、「在日ブラジル人子弟の適応支援と卒業はどのように影響するのか」を研究する予定だ。
 マテウスさんは、27日に聖市の在サンパウロ日本国総領事館で行われた国費留学生歓送会の留学生自己紹介の中で一番はっきりと参加者たちに自分の想いを伝えていた。思わず「流石は先生だ」と感心した。
 コラム子は学生時代、公立校に通う在日ブラジル人の宿題を手伝うボランティアを茨城県常総市の公民館でしていたことがあり、マテウスさんの研究にとても興味が湧いた。当時は自分たちの活動がどこまで子ども達の為になるかを考えていた。その日々を思い出した。
 マテウスさんはUNESP大学で文学を専攻。アニメや漫画が好きなことに加え、今まで勉強したことがなかったことを理由に日本語学習を始めた。在学中は奈良県にある天理大学に留学し、日本文化や社会を学んだ。
 大学卒業後は、サンパウロ州機関の言語学習センター(CEL)に勤めた。同センターは公立学校に通う8年生以上の学生の第2言語学習を支援する機関だ。マテウスさんは同センターで日系人を含む子どもたちへの日本語教育に尽力した。
 日本語学習への関心をさらに高めたマテウスさんは昨年8月から今年3月まで、富山県多文化共生推進研修員制度を利用し、高岡市のNPO団体「アレッセ高岡」に所属して、現地の公立学校に通う日系人子弟にポルトガル語で宿題を手伝うボランティアなどを行った。
 「日本にいるブラジル人の子どもは義務教育中に退学することが多いと聞いてとても驚いた。しかし、高岡市立野村小学校に通うブラジル人の子には退学する人がいないと聞いて更にびっくりしました」と話す。
 高岡市での経験から、在日ブラジル人子弟の中でも、日本語が話せるのに学業を諦めてしまう子の存在に問題意識を持ち、帰国後、さらに研究を進めるため、MEXTに応募したという。
 MEXT留学中は高岡市の活動事例を中心に、ブラジル人子弟の進学と支援について研究する。
 先日、コラム子がボランティア支援をした子から、大学進学と少年の主張全国大会県大会で優秀作品に選出されたとの嬉しい連絡をもらった。マテウスさんの研究が在日子弟支援団体の活動に繋がる日が楽しみだ。(島田莉奈記者)

最新記事