西部アマゾン日伯協会のマナウス句会(幹事 橋本美代子)が『句集マナウス』第39号を4月に発行した。2023年1年間の会員12人の作品をまとめた句集だ。
序文で同日伯協会の服部元会長は「近年、残念ながら町の治安がだんだんと悪くなってきております。そして今年は市議会議員及び市長選挙があり、マナウスも少し騒がしくなると思われます。皆さんはくれぐれも身の安全にお気をつけてお過ごしいただきたいと思います」との言葉を寄せた。
1月入選句《初空に吠える八十路の空元気》宿利嵐舟、《アマゾンで餅食ぶ喜びかみしめる》渋谷雅、日本人学校児童生徒「お父さんもちつきすぎてヘロヘロだ」小二・小笠原綾香、「入道雲もくもくもくとアマゾン河」小四・三倉朱里(みくらあかり)などの可愛らしい句も。
8月《泥に座す破船や浮屋河乾季》橋本美代子、《乾期来て魚の棲家も四畳半》相澤寛明、9月《夕映えて金色(こんじき)に燃ゆ雲の峰》宿利嵐舟、《移住地の土の香染みし茹でピーナツ》相澤寛明、10月《大河涸れアマゾン砂漠ならねばや》野沢須賀子、《大河涸れ中州の砂紋悲しげに》丸岡すみ子
11月《待ち待ちし喜雨に喝采のち豪雨》宿利嵐舟、《雨風と共に襲来羽蟻かな》丸岡すみ子、12月《妻料理タカカに舌鼓癖になる》松田正一、《コロナ明け笑顔あふれる亡年会》内ケ崎留知亜
あとがきで同句会幹事の橋本美代子さんは「季節感の変化のなさは悩ましいことではありますが、ここならではの季節の気づきを大切に、アマゾンの雄大さ偉大さを詠むことができる幸せに感謝しながら精進いたします」としたためる。アマゾンの年間の気温差は5度程度しかなく、「日本の四季の繊細さは望むべくもない」とし、「日本の歳時記の月ごとに整然と並ぶ記載にめまいがする思い」だという。
例えば、アマゾンで「朝寒」を詠もうとした場合、実感からかけ離れた季語で、思い出や想像で読むこともあったという。「こちらでは25度くらいになるとうすら寒く感じます」と書いた。