日本の映像コンテンツの世界流通を手掛けるREMOW株式会社(本社=東京都千代田区、石井紹良(あきら)代表取締役社長)は7月19日から21日に来伯、サンパウロ市で「Jポップカルチャー浸透度視察」を開催した。経済・社会・文化の総合的な発展が見込まれるブラジルの政府関係者や現地の商品化関連企業ほか、アニメ産業関係者との意見交換会、アニメイベント訪問や主催者との交流会などを通して、当地における日本アニメ産業の現状と問題点を把握し、多様な日本コンテンツの発展に向けた第一歩とすることが視察の目的だ。日本のアニメ産業の中心的出版社(株)KADOKAWA、(株)講談社、(株)集英社が参加した。
REMOW社は本視察で得た発見と課題を、日本のアニメ産業に関わる関係者と共に、今後のブラジルにおけるIP(知的財産ビジネス)展開に反映させたいと考えている。中南米全域でのコンテンツ収益を最大化するだけでなく、全世界での日本コンテンツ価値最大化のため、配信・放送・出版・商品化・イベントを含む全方面でのアニメビジネス展開のみならず、本視察のような現地企業と日本のコンテンツホルダーとの関係性強化などの機会創出を進める方針だという。
19日はサンパウロ州政府の文化局長代理アシス・マルセロ・エンリケ氏および文化局技術顧問のアブラソス・アンデルソン氏による講演と意見交換会、パニニ・ブラジルなど当地大手出版社や大型イベントCCXP等の当地イベント企業との交流会。ブラジル情勢や出版、イベント等の改善点を把握し、日本コンテンツの流通発展への可能性を確認する機会となった。
翌20日は、REMOW LATAM商品化担当者による現地の商品制作の現状と課題の共有、国際交流基金共催のアニソンダンスイベントも視察。公式商品の流通が滞る原因やその対策のために日本のコンテンツホルダーに期待される対応策など公式商品の流通スキーム構築の必要性などの議論がなされた。
21日は日本移民史料館訪問、南米最大級のアジアン・ポップ・カルチャーイベント「アニメ・フレンズ」の視察により、アニメファンの熱意を直に感じ、主催者との意見交換会により、今後のポップカルチャーイベントの発展性について議論した。
REMOW社は「日本企業によるブラジルでのイベント出展が少なく、日本企業の参加が現地より熱望されている状況があり、現地で作品を広めていくと同時に、日本からのイベント参加企業の招致やそのサポート強化が求められていることを確認できた」とリリースを締めくくった。
ブラジルには日系人も多く、日本文化や日本アニメに興味を持っている人も多く存在し、アニメ文化の浸透が最も期待できる国の一つと言われる。日本コンテンツが正規で視聴できるサービスが不足し、多くの海賊版が氾濫している実態など、現地の課題も改めて浮き彫りとなり、日本のアニメ産業に関わる現地の企業や政府関係者、日本のコンテンツホルダーが集まり、その改善策や強化の取り組みについて意見を交わし、共通認識を深める今までにない機会となった。