ルーラがビル・ゲイツから財団賞=「軍事費を飢餓対策に使って」

ゴールキーパー授賞者のルーラ大統領(右)と主催者のビル・ゲイツ氏(左)(Foto: Ricardo Stuckert / PR)
ゴールキーパー授賞者のルーラ大統領(右)と主催者のビル・ゲイツ氏(左)(Foto: Ricardo Stuckert / PR)

 米国ニューヨークを公式訪問中のルーラ大統領は23日、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏が創設した慈善基金団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」から2024年の「ゴールキーパー賞」を受賞した。この賞は毎年、健康、教育、貧困削減などSDGs(国連の定める持続可能な開発目標)分野で顕著な取り組みを行った人に贈られるもので、飢餓対策政策、特に社会福祉政策「ボルサ・ファミリア」が評価されたと23日付ポデール360(1)が報じた。
 主催者のゲイツ氏は授与式に先立ってルーラ氏の個人的な歩みを称賛し、貧しい幼少期と大統領に至るまでの道のりを強調し、「ブラジル大統領はインスピレーションを与える存在」であると絶賛。ルーラ大統領がG20のリーダーとして掲げている「飢餓と極度の貧困に対するグローバル・アライアンス」の創設を通じて栄養失調対策の拡大を指摘した。
 賞の授与後、ゲイツ氏とルーラ氏は約20分間、飢餓問題について意見交換をした。大統領は、世界の飢餓撲滅における国家の役割を強調し、国家は基本的に最も貧しい人々のニーズに応えるべきだと述べた。同氏は「飢餓は誰も革命へと導かない。人々を服従させるのだ。富裕層は国家を必要としない。必要とするのは、教育を受けられなかった人々や職業を持たない人々であり、マイクロソフトを発明できなかった人々やそれを買う余裕がなかった人々だ」と述べた。ルーラ氏は3期目の政権で2450万人を国連ハンガーマップから除外したことを誇り、「飢餓のないブラジルを世界に示したい」と語った。
 ルーラ氏は、ボルサ・ファミリアが「世界で最も成功した飢餓対策の経験の一つ」であると考えているが、同様の政策は政治的決意がなければ実施できないと強調。「財団を設立したことは称賛に値するが、実際に貧困問題を解決するのは財団からの寄付ではなく、公共政策によるものである」とゲイツ氏に対しても厳しい発言をした。
 ルーラ大統領によれば、世界の問題は金銭の不足ではない。「大西洋や空中を飛び交う何兆ドルもの金が存在し、人々は何も生産せずにますます裕福になっている。投機によって生きているのだ」と述べた。彼は昨年、軍事産業に24億ドルが費やされたことを指摘し、「そのお金を飢餓対策や家族農業、最も貧しい人々を助けるために使えば、世界の飢餓を根絶できる」と語った。
 世界の億万長者について「これは説明のつかないことだが、私は誰かが裕福であることに反対なのではない。貧しい人々がいることに反対しているのだ」と述べた。ルーラ氏は満員の聴衆から何度も拍手を浴び、講演の最後にはスタンディングオベーションが起きた。
 ルーラ氏は11月にリオで開催されるG20サミットで正式決定される「飢餓と極度の貧困に対抗するグローバル・アライアンス」に民間投資を呼び込もうとしている。同氏は、会議までに有意義な支持を得たいと考えており、これが自らの夢であるノーベル賞への道を開くと期待している。

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