巨額負債乗り越えた日系起業家=ブラジル南部最大の和食デリバリー網へ

敏腕実業家のラファエル・コヤマさん(中央)と、共同経営者のマリア・クララ・ロシャ氏、マリア・フェルナンダ・カニザレス氏(Foto: Divulgação)
敏腕実業家のラファエル・コヤマさん(中央)と、共同経営者のマリア・クララ・ロシャ氏、マリア・フェルナンダ・カニザレス氏(Foto: Divulgação)

 日系人ラファエル・コヤマ氏が経営するMTGフーズグループは、パンデミック時の500万レアルの負債を乗り越え、7千万レアルの売上を達成した成功事例として注目されている。パラナ州に拠点を置く同社は、いまや南部最大の和食デリバリーチェーンに成長し、2024年には三つのブランド「MATSURI」「MATSURI TO GO」「MOK THE POKE」で拡大を続けている。
 コヤマ氏は、家族ビジネスを立て直すために若干24歳で起業し、女性の起業家精神がその成功において重要な役割を果たしたと振り返る。21日付テラ(1)が報じた。
 コヤマ氏には、父クラウジオさんと母エミコさんと共に困難を乗り越えた歴史がある。パンデミックによる厳しい経済状況の中、彼は食品ロスを削減するために設立した自らのスタートアップ「エコフード」を離れ、家族ビジネスを引き継いだ。
 まずデリバリー業態を導入する決断を下し、3店舗を閉じて売却、自分のマンションや車などの資産も手放した。そしてブラジル料理の弁当を作り、販売して負債を返済する道を選んだ。この厳しい選択を通じて、彼は家族ビジネスを守るための戦略を練り続けたという。
 デリバリーの当初の目標売上は月3万レアルだったが、2020年6月には大きくそれを上回る23万7千レアルを達成し、同年末には売上は160万レアルに達した。コヤマ氏は「その翌年に最初のフランチャイズを開設し、売上は現在600万レアル近くに達した」と語る。
 2021年には、現在までネットワーク全体に食材を供給している中央キッチンが開設され、共同経営者のマリア・フェルナンダ・カニザレス氏によって管理されている。独自開発の調味料などが生産されており、特に秘伝レシピで作られる醤油は月に約6万本生産されているという。
 MTGフーズグループにとって、女性の起業家精神は強固な支柱だという。それは、500万レアルもの負債を抱えた最中に母エミコさんが言った「諦めることは選択肢ではない」という言葉に象徴される。
 「MOK THE POKE」の導入は、共同経営者であるマリア・クララ・ロシャ氏による提案であり、昼間はキャリアウーマンとして働いていた彼女の戦略的ビジョンから同事業が誕生した。
 健康的でライトな食べ物への需要がますます増えると予測した女性目線の意見も加えられ、2022年の初月の売上は2万レアルだったが、24年上半期には600万レアルに達し、MTGフーズグループ全体の23%を占めるようになった。
 2023年末にはロンドリーナ市に160人収容可能な実店舗を再オープンさせた。200万レアルの投資が行われ、2024年の売上は1100万レアルに達する見込みだ。コヤマ氏は「今後も新しい店舗を開く計画がある。南部ではすでに最大の日本料理チェーンに成長できたので、次は全国展開を目指します」と展望を語った。

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