訃報 舞踊家 小原明子さん=弓場農場にバレエ団設立

弓場農場の舞台で踊る晩年の小原さん(提供:弓場農場/Lucille Kanzawa)

 弓場農場の舞踊家・小原明子(おはら・あきこ)さんが9月30日午後8時、膵臓癌で亡くなった。行年89歳。
 小原さんは1935年6月7日、東京で生まれる。15歳からバレエを始め、堀内完・安藤三子ユニークバレエ団で活躍。後に前衛バレエで有名となる土方巽氏や劇団四季の浅利慶太、寺山修司らとも交友があった。
 1961年、モダンアート彫刻家の夫・久雄氏(故人)とボーイスベン号で渡伯。サンパウロ州ノロエステ地方アリアンサ村の弓場農場に入植。農場の子どもたちにバレエの指導を始め、これがきっかけで農場に「テアトロ・ユバ」が建設された。
 また、明子さんの妹が檀一雄氏の子息と親族関係にあり、弓場農場へ昭和の文豪が訪れるきかっけも作っている。
 1965年には当時のサンパウロ州内務省長官ジュべナール・ロドリゲス・デ・モラエス氏へ歓迎のバレエ公演をしたことで、州政府より援助金が交付された。これをきっかけに奥地10都市での公演を実施。
 1971年にはメジシ大統領夫人の招聘でブラジリア野外劇場で公演を行う。1974年には当時の田中角栄総理大臣歓迎のための公演(文協大講堂)、1997年には天皇皇后両陛下ご来伯歓迎式典での公演(イビラプエラ体育館)なども行う。海外では日本やパラグアイなどで弓場バレエの公演を行った。
 これらの実績により、1998年にミランドポリス市議会から名誉市民賞を授与され、2000年には日本から外務大臣賞を受賞している。2008年にはブラジル文化省が実施する文化功労賞も受賞。これは日系人団体としては初の快挙であった。
 葬儀は10月1日午後4時から弓場農場の大食堂で行われ、その後、第一アリアンサ墓地に埋葬される。

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