サンパウロ日伯援護協会(援協、税田パウロ清七会長)の高齢者施設サントス厚生ホーム(土井セルジオ紀文運営委員長)創立50周年記念式典が9月22日、サントス市にある同ホームで行われた。式典には、サントス地域の協力者をはじめ、税田会長、菊地義治名誉会長と援協役員、入居者とその家族やホーム関係者など約250人が出席。半世紀の節目の年を祝った。
式典は援協の前園マルセリーノ事務局長の司会で進行し、最初に土井運営委員長があいさつ。同ホームのここ数年の設備改修状況を説明し、特に2022年に行われたJICAによる「施設等整備助成金交付事業」の助成で多目的ホールの新設とソーラーパネル設置など、ホームの設備が充実したことに感謝の気持ちを表した。
税田会長は祝辞で同ホームの歴史を振り返り、JICAや故・神内良一氏などからの大型寄付やホームに携わるすべての人の協力により、創立50周年を迎えられたことに感謝した。
引き続き、同ホームに貢献してきた功労者及び団体代表27人に、税田会長、島袋栄喜副会長、土井運営委員長からそれぞれ感謝状と記念品が贈呈された。
その後、入居者がこの日のために練習してきた音楽療法で、『みかんの花咲く丘』『上を向いて歩こう』を歌うなど4曲を披露し、来場者から温かい拍手が送られた。
壇上では菊地名誉会長の乾杯の音頭の後、税田会長と土井運営委員長によるケーキカットも行われた。
厚生ホームの歴史とJICAの協力
援協の中で最も歴史のある高齢者保護施設「サントス厚生ホーム」は、前身の「厚生ホーム」が聖市リベルダーデ区の社会復帰支援施設の建物を借りて、1971年から活動を開始。74年に、かつてサントス港に到着した日本移民を援助していた「サントス移民の家」に移転し、その後に現在の「サントス厚生ホーム」に生まれ変わった。
特に70年代に入ってから、高齢者問題が深刻化。従来、「生活難」などが中心だったケースが、70年代からは「孤老感」「断絶感」など精神面での悩みを持つ要保護者が増えたこともホームが開始された背景にある。
80年に改築計画の一環で旧館を取り壊したが、ハイパーインフレの影響で計画は頓挫。89年に国際協力事業団(現JICA=国際協力機構)の資金援助(31万ドル)を受けて計63万ドルの予算で翌90年に新館が完成した。備品購入に際しては、神内国際福祉事務所(神内良一理事長)から大型寄付(24万ドル)を受け、91年1月28日に落成式を行っている。
近年では、コロナ禍におけるJICAの「施設等整備助成金交付事業」助成(約156万4千レアル)により、多目的ホールの新設とソーラーパネル設置等のお披露目式を2022年8月に実施。また、援協が100万レアルを自己負担して非常階段を設置するなど、入居者の住環境はさらに充実したものになっている。
功労者及び功労団体
税田パウロ清七、井上茂則、土井セルジオ紀文、安次富ジョージ、西岡ネルソン、照屋ジョージ、照屋ケイコ、植田登志子、小橋川ジョルジ、山口マサユキ、有坂隆良、宮坂国人財団、金星クラブ、サントス日本人会、沖縄県人会サントス支部、サントス・アトレチコ・アトランタ協会、サンビセンテ日伯協会、広瀬ミノル、土井セリナ、桑原クニオ、桑原ソニア、安次富パウロ、安次富イネス、今田サンドラ、リカルド・カミカド、山口キクエ、金城カズミ(敬称略)