南北米大陸を跨ぐCOPANI=あなたの国の日系社会教えて(1)

COPANI会場の様子

 9月6日から8日にパラグアイの首都アスンシオンで行われた汎アメリカ日系人大会(COPANI)には、ホスト国パラグアイを始め、ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジル、ボリビア、メキシコ、アメリカ、カナダから500人以上の日系人が参加した。同じ日系人でも国が違えば、日系社会のあり方やその文化も違うはず。そこで、各国の日系人に「あなたの国の日系社会について教えてください!」とインタビューを行うことにした。第一回目となる今回は、取材の舞台となるCOPANIについて紹介する。(島田莉奈記者)

 COPANIは各国の日系人がアイデンティティの確立や文化交流をするために企画され、1981年、メキシコシティーで初開催された。以降、2年に一度行われ、南北アメリカ大陸の日系人同士の交流に大きな役割を果たしている。主催国は基本的に、北米地域で開催されたら次は南米からという習わしがあるという。大会の内容はその時々の時代背景や関心事によって変わる。
 ホスト国の日系社会は、その団結力と実行力を試されることになるが、今回のパラグアイ大会においては、その実力に文句を言う人はいないだろう。大会は入念に準備され、問題が起きることはなかった。さらに言えば、ボランティアで運営に協力したパラグアイ日系社会の人々へ参加者は全員感謝の念を抱いているはずだ。開催期間中、睡眠時間を削りながらも運営をこなしてくれた彼らなしでは今回の大会成功はなかった。
 次回開催国はブラジルだ。パラグアイでの成功を見て、参加者の大会に対する期待は上がったに違いない。だが、ブラジルの交通機関は大体遅れるし、街中を歩く時も盗難や事故に巻き込まれる可能性がある。会場にいたある日系ブラジル人の青年は「注意しないといけないことばかりだ…」と頭を抱えていた。一方で、「どんな良い大会にしようか」と楽しげにアイデアを語り合っている日系ブラジル人たちの姿も。国の規模、そして日系社会の規模が参加国の中で最も大きいブラジル。ブラジル全土を巻き込んだ素晴らしい大会となるよう期待だ。

若者セッションでの様子

 今回、記者は初めてCOPANIに参加したが、世界に対する視野が一気に広がった。「日系」や「日本」という言葉がキーワードとなり、様々な国の多様な人々と出会える。開催期間が3日間ではまったく足りないと思ったほどだ。各国の日系人と話していて「日系の概念」が少しずつ違うことなどにも気付くことが出来た。多くの日本人にこうしたことを知る機会がほとんどないことを残念に思う。日系社会の規模が小さい国もあるが、そのネットワークは巨大で、日系社会の底力を感じる取材体験だった。(つづく)

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