生まれつき子宮を持たず、妊娠が望めなかった妹のために、姉が自分の子宮を提供し、中南米で初めての生体間子宮移植手術が行われた。経過は順調で、妹は初めて月経を迎え、6カ月以内に胚の移植が予定されていると、9月29日付G1(1)が報じた。
妹ジェシカ・ボルジェスさんは、思春期に月経が来ないことを不審に思って検査を受けた結果、「ロキタンスキー症候群」と診断された。この症候群は、約4千人に1人の割合で女性が子宮を持たずに出生する先天性異常だ。罹患者は卵巣を持ち、排卵はするが、子宮がないため妊娠することができない。
ジェシカさんは当初、この現実を受け入れられず、誰にも打ち明けなかった。だが年齢を重ね、疾患について学び理解が深まるにつれて、徐々に心を開くようになった。
大人になったジェシカさんは結婚し、やがて誰かから「お母さん」と呼ばれたいと思うようになった。家族は彼女の夢を叶えるために何かできることがないか模索し、最終的に子宮移植が提案された。
サンパウロ総合大学(USP)の産科医ダニ・エイゼンベルグ氏によれば「世界ではすでに100件以上の子宮移植が行われており、その結果、50人以上の子どもが誕生しています」という。
姉のジャケリーネさんはすぐに、自身が子宮の提供者になることを申し出た。「私は家族が大事だから、妹の夢を叶えることを第一に考えました」。
当時、ジャケリーネさんにはまだ子供がいなかったためジェシカさんは申し出を断った。だが時間が経ち、姉は2人の子供を授かった後、ついに姉妹は移植手術を受ける決断をした。
10時間に及ぶ手術が成功し、1カ月後、ジェシカさんの体は新しい命を迎える準備が整った。彼女は初めての月経を迎え、「不安だったけれど、それは新しいスタートの合図です。これでいよいよ自分の胚を移植できる」と喜びを語った。
ジェシカさんには11個の胚が冷凍保存されており、6カ月以内に移植が行われる予定だ。彼女の母親であるシモーネさんは「姉妹の深い愛情が、この美しい物語を紡いだことに、心から感謝しています」と語った。