今回のCOPANI開催にあたって欠かせない役割を果たした「パラグアイ日系女性の会」には、主婦やキャリアウーマンなど幅広い分野で活躍する女性が参加している。2017年3月に創設された同団体には会長などの役職がなく上下関係もない。それぞれの経験や知識を共有して、互いに向上することを目的に活動している。「参加のきっかけはパラグアイ日本人移民80周年記念なんです」と語る松宮クリスティーナさんは自身で会社経営をするワーキングマザーだ。
パラグアイ移民80周年記念式典は2016年に行われた。当時の駐パラグアイ上田善久特命全権大使は高齢化した1世移住者の今後の式典参加機会のことなどを考慮し、80周年式典を大規模な催しとすることを発案。地元日系社会もこれに賛同し、式典の準備を行った。これまで式典などのイベントは1世が中心になって運営していたが、80周年式典実行委員は2世世代が中心となった。
日系社会に運営協力を呼びかける内、自然と女性の参加者も増え、男女の参加割合は半々となった。
運営協力者らは毎週話し合いを行って準備を進め、式典を見事に成功させた。
運営協力者の集いはその役目を果たしたが、習慣化した毎週の会合を解散させてしまうのは勿体無いという思いも参加者たちの間に生まれていた。
現駐パラグアイ大使の中谷好江氏は当時、参事官として在パラグアイ日本国大使館に勤務していた。松宮さんたちは中谷参事官と80周年式典準備のやりとりを通じて関係を築いていた。
そんな中、中谷参事官が「3月8日の国際女性の日に何かできることはないだろうか」と思案していることを知り、松宮さんたちは80周年式典での経験を活かし、イベント開催を企画。そして「パラグアイ日系女性の会」の組織化に向けて動き出した。
同団体は主に、女性の活躍や、健康、日本のおもてなし、マナー、ビジネスなどをテーマにした講演活動を行っている。講演者はパラグアイ日系女性だけでなく、近隣国や日本などからも招いている。
松宮さんは「実はパラグアイ日系人の進学率は女性の方が高いのです。なので、パラグアイ日系社会では女性に対するリスペクトも自然と高い。パラグアイ日系女性の会では交流を深めながら、皆で向上していくことができ、それが皆の楽しみになっています」と話す。
パラグアイ日系女性たちは、「女性の権利」のために活動しているのではなく、独自の目標のために突き進んでいるところが特徴的だ。
パラグアイでは、セントロ日系の会長が女性で、若い女性起業家も多く見かけた。
日本には「女性は男性の引き立て役」という意識が未だ根強く残っているが、パラグアイの日系女性たちはそうした固定観念を自然と打ち破った。彼女たちの功績は後世にも引き継がれ、輝き続けるに違いない。(島田莉奈記者、つづく)