ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市のマンションの住人が、管理組合から共益費835レアル(約2万2千円)を現金で支払うよう要求されたため、5センターボ(約1・3円)〜1レアル(約26円)の少額硬貨1663枚を用いて支払いを行った。これは、PIX(即時決済システム)などの電子決済や銀行振込が一般的な現状において、現金支払いを強制されることへの不合理さに抗議したものだったと、9日付G1(1)が報じた。
この出来事は、同市中南部サントアゴスチーニョ地区に位置する伝統あるマンション「エジフィシオJK」で7日に発生した。この建物は、ブラジルを代表する建築家オスカー・ニーマイヤーによって1950年代に設計され、70年代に完成したマンションだ。22年4月には同市文化遺産として登録された。
23階建てと36階建ての2棟で構成され、計5千人以上の住民を抱える1086戸の大型分譲マンションだ。総面積が1600平方メートル以上に及ぶ同マンションに約7年間居住しているダニエリー・ロシャ氏は、G1のインタビューに対して、抗議の一環としてこの行動に出たと述べた。彼女に加え、他の住人も硬貨を用いて支払いを行ったという。
彼女は、「それは私にとって不条理の極みでした。ここに住む我々にとって業務時間中に出かけて、かなりの額の現金を引き出しに行くのは現実的ではなく危険が伴います。現金は財務管理を困難にし、会計報告において不正が生じる余地を与えます。この要求の背後にある意図すら疑わしくなります。そこで私は、この状況がいかに不合理かを示す手段として、この方法を選びました」と説明した。
支払いに使用する1663枚の硬貨を集めるために職場の人々にも協力を求めた。「硬貨を集めるのには骨を折りました。これはみんなで取り組んだ結果です」と話した。
ダニエリー氏が大量の硬貨を持ってマンションの管理組合へ支払いに行った時、担当者は驚きと不満の表情を見せたという。すべての硬貨を数えるのに約2時間を要した。
他の住人たちは、ダニエリー氏の静かな抗議を支持した。彼女によれば、この行動は広く浸透している不満を可視化するのに役立ったといい、「彼らは、私がなぜその行動をとったのかを理解してくれました」と話した。
彼女は、「今のところ、彼らは現金での支払いの決定を撤回していません。もし来月もこの要求を続けるなら、私は抗議を続け、強硬手段に出るかもしれません! 次はできるだけ少額のコインにして更に多くの硬貨を集めるつもりです」と締めくくった。
マンション管理組合は住人に対し、銀行振込書(boletos)発行に問題があるため、現金支払いを採用したと説明したという。