世界196カ国を世界最速で訪問した人物として、35歳のブラジル人男性がギネス世界記録に登録された。サンパウロ州オザスコ市最大のファヴェーラ(貧民街)出身の彼は、長年「世界を見る」という夢を持ち続けており、2年42日をかけて世界各国を旅し、目標を達成した。彼はこの挑戦を通じて黒人としての新たな道を切り開き、多くの人々にインスピレーションを与えることを目指している。23日付フォーリャ紙(1)(2)などが報じた。
旅人であり、同紙のコラムニストでもあるロブソン・ジェズスさんは18日、ギネス世界記録の審査員から通知を受け、歓喜に沸いた。彼の世界旅行はタイから始まり、ブラジルで終わるまでに2年42日、75万レアル(約2千万円)を費やした。
ロブソンさんは「とても安心したよ。ギネスの審査が5カ月間続き、不安と疑念の日々だった」と振り返り、「ブラジルの名を背負って記録を達成したことに対し、強い責任感を感じている。これからは自分が世界を最速で回った人物としての基準になるのだから」と語った。以前の記録保持者は米国のイリ・リウ氏で、彼は3年3カ月でこの業績を達成していた。
ファヴェーラで育ったロブソンさんは家計を助けるために10歳から働き始め、サンパウロ総合大学医学部付属クリニカス病院の経営チームの一員にもなった。彼はこの偉業を成し遂げた最初の黒人となった。「世界に196ある独立国全てを旅した人は150人しかいない。その中にブラジル人や黒人がいなかったことを知り、私はその最初の一人になりたいと思ったんだ」と話した。
彼のインスタグラム(@onegovailonge)は、現在15万8千人のフォロワーを持ち、国内で最も著名な黒人旅行インフルエンサーとなった。旅をしながら知名度を上げ、それがミッションの資金源となった。
「私は10万レアル(268万円)と携帯電話、そして夢を持って旅を始めた。当初、旅の総費用を50万レアルと見積もっていた。格安航空で飛び、食事は質素に安い宿に泊まって、できる限り節約したよ」と話した。ロブソンさんは旅の途中で、広告やデジタルサービス・商品の販売を通じて資金を稼ぐようになり、総収入は70万レアルに達した。
彼は、自分が黒人であることが旅に影響を与えたとし、「旅行者として黒人を見ることは一般的ではない。出会った旅行者10人のうち9人は白人で、黒人は主にフランス人か米国人だった。特に欧州ではそれを強く感じた」と明かした。
一方で、彼は自身の肌の色が役立った場面もあると振り返り、「戦争中のアフリカ諸国では、おそらく白人がアクセスできないコミュニティに入ることができた」と話した。
最も気に入った国について、彼は「日本、タイ、ベトナム」だと語っており、アジア諸国に魅了されたことを明かしている。
ロブソンさんは現在、既に新しいプロジェクトに取り組んでいる。この世界旅行についての書籍執筆と、ドキュメンタリーを製作中だ。