TBS NEWS DIG=サントス強制退去事件の証言者たち

《消された日本人という存在~サントス強制退去事件の証言者たち》の一場面
《消された日本人という存在~サントス強制退去事件の証言者たち》の一場面

 TBSテレビ局のユーチューブチャンネルTBS NEWS DIGで新動画《消された日本人という存在~サントス強制退去事件の証言者たち》(Imigrantes Japoneses Excluídos)【World Report】(https://www.youtube.com/watch?v=oAtQCk8vW9E)が24日に公開された。
 7月25日にブラジリアで恩赦委員会が連邦政府を代表して日本移民に謝罪した主な争点の一つ、1943年7月に起きた24時間以内のサントス強制退去事件の生き証人2人から体験談と現在の想いを取材した約20分の番組だ。記者の山口貴史さんの特別な配慮から、ブラジル側の視聴者向けにポルトガル語の字幕が付けられている。
 一人は橋本和秀さん(94歳、2世)で、「夕方突然、政府の役人が来て『明日の朝6時に列車に乗って全員退去せよ』との通達と伝えた。24時間どころか12時間しかなかった。家族10人で途方に暮れた」と13歳だった当時の状況を生々しく語る。「服だけ持って追い出されて、良い思い出なんかありません。私たちは苦労しましたよ。特に両親がね」
 政府謝罪に関して尋ねると「犯罪を犯しておいて謝罪なんて。(私たちの苦しみに比べて)釣り合いませんよ」と厳しく指摘した。
 もう一人は當山正雄さん(102歳、沖縄県出身)、22歳で強制立ち退きを経験した。自動車整備の職場で通達を受け、サントス駅に直接連れていかれ、自宅に持ち物を取りに戻ることすら許されなかった。「持ち物は来ていたツナギだけ。本当に悲しかった」
 さらに「日本人はスパイだと警察や一般ブラジル人から暴力を受けた。暴力で亡くなった人も知っている。でも亡くなった人のことは言えない」と口をつぐんだ。今もって言えないことがある。いずれにしても一見の価値ありの貴重な証言と言えそうだ。

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