賃貸物件に開かずの部屋⁈=ドアの向こうの気配に戦慄

アパート内の一つの扉には鍵がかかっていた(Foto: Arquivo pessoal)
アパート内の一つの扉には鍵がかかっていた(Foto: Arquivo pessoal)

 賃貸アパートに開かずの扉――パラナ州クリチバ市で古いアパートを借りて約1年住んだ夫婦が、そこでの奇妙な体験を動画で語り、SNSで注目を集めている。物件内の一つの扉は大家によって施錠されていたが、ドアの向こう側には人の気配があり、その部屋に繋がる「秘密の通路」が存在して何者かが出入りしていることを発見したという。25日付G1など(1)(2)が報じた。
 妻タイナラ・ドゥエッキさんと夫は、結婚を機に2023年10月に同アパートに住み始めた。だが鍵のかかった扉の向こう側に、何者かの気配に気づいたのは、住み始めてからしばらく経った今年6月だった。
 その物件には寝室が3部屋あったが、不動産業者から「1室は約4カ月間施錠され、入室ができない」と予め告げられていた。ドアの向こうに何があるか知らないまま、夫婦はこの特殊な条件を受け入れた。これは契約にも明記されていた。
 業者からは「大家の荷物がその部屋に残されているため」と説明され、当初は記載された期間が過ぎれば部屋を使用できると思っていた。
 タイナラさんは、「最初からあまり乗り気じゃなかったのですが、夫から『大丈夫、少しの間だけだから』と説得され承諾しました。アパートの中に開かずの部屋があり、中に何があるのか分からない状態で住むのは不気味でした」と振り返った。
 その物件に住み始めてから数カ月が経ったある日、夫が開かずの扉の向こうから聞こえる足音や、家具を引きずる音に気づき、戦慄が走った。彼はその扉をノックし「誰かいるの?」と尋ねたところ、向こうから「どうしたの?」と答える高齢女性の声が聞こえたという。タイナラさんは「その女性は、玄関から呼ばれたのだと勘違いしていたようで、それで返事をしてしまったようです」と話した。
 この件の直後、夫婦はそのアパートの隣に住む大家の家から、若夫婦の住む賃貸アパートに繋がる通路があり、開かずの部屋に出入りできることを発見した。これは「半戸建て住宅」で家の片側の壁が、隣接する別の家の壁を共用するタイプの建築物件。壁は共用しているが、互いに戸建てのままであることを特徴とする。その壁に隣の家から入れるドアが設置されており、賃貸夫妻側からは大家が使っているドアを確認することができなかった。
 夫婦は、自分たちが留守中に大家がその鍵のかかった部屋に出入りしていたと考えているが、夫婦の別の部屋には入らなかったとみている。その扉はタンスで遮られており、他の部屋にアクセスできないようになっていたことが判明している。タイナラさんは「しかしその部屋は私たちの責任下にあり、彼女が利用していた電気代は私たちが支払っていたのです」と釘をさす。
 彼女は動画内で、事件発覚後に不動産業者とは合意に至り、円満にアパートを出たと語った。夫婦は約束の4カ月が過ぎた後に何度も部屋への立ち入りを要求したものの、何かと言い訳をされ、逃げられたと明かされている。
 パラナ連邦大学の教授で弁護士のフレデリコ・グリッツ氏によると、施錠された部屋のある物件を賃貸すること自体には違法性はなく、当事者間で合意がなされていれば問題はないという。
 だが、もし夫婦が不快感やストレスといった物質的、または精神的な損害を被った場合や「引越しに伴う費用や、他の物件を緊急で借りる際に生じる費用に対する損害賠償が認められる」と説明した。

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