リオ・グランデ・ド・スル州で医師の男が妻に睡眠薬入りアイスクリームを与えて眠らせた後、麻酔薬を注射して殺害した疑いで逮捕された。男はこの薬品を統一医療保健システム(SUS)から不正に持ち出したとされ、さらに妻の死因を心臓発作と偽装していた。被害者の妻は看護師で、夫婦の間にはわずか2歳の息子がいた。10月30日付メトロポレスなど(1)(2)が報じた。
事件はカノアス市で10月22日に発生した。アンドレ・ロルシェイッテル・バチスタ容疑者(48歳)は29日、女性殺害の疑いで逮捕された。
妻パトリシアさん(41歳)の遺体が発見された自宅内にはアイスクリームの容器があり、鑑定の結果、睡眠導入剤ゾルピデムが検出された。
捜査を担当したラファエル・ペレイラ警部は、この事件を「映画のような巧妙な事件」と評した。「容疑者は強力な睡眠薬をアイスクリームに混ぜて深い眠りを誘導し、その後、麻酔薬ミダゾラムを静脈注射したと考えられている。
日本でミダゾラム処方箋には赤字で警告として《呼吸及び循環動態の連続的な観察ができる設備を有し、緊急時に十分な措置が可能な施設においてのみ用いること。呼吸抑制及び呼吸停止を引き起こすことがあり、速やかな処置が行われないために死亡又は低酸素脳症に至った症例が報告されている》と注意書きされている。
警部は「彼は妻の足に注射をした。これはおそらく、腕に注射をすれば後が目立つため、自然死の証明書を取得できなくなるからだ」と説明した。殺害に使用された薬品は使用制限があり、特定の状況下でのみ処方される医療用医薬品であり、通常は医療専門家によって厳密に管理されている。
その後、容疑者はパトリシアさんの家族に電話をかけ、「妻が死亡した」と伝えた。さらに、自身が勤務する緊急医療サービス(SAMU)の別の医師によって発行された死亡証明書を提示し、心臓発作による死因を偽装した。
だが、不審に思った被害者家族が司法解剖を依頼したところ、毒殺の可能性が指摘され、さらには法医学研究所の報告によれば、被害者の血中に規制薬剤ミダゾラムの痕跡が確認された。警察は、この投与がパトリシアさんの死因であると特定した。
バチスタ容疑者は、リオ・グランデ・ド・スル連邦大学で医学を学び、2007年6月に連邦医学審議会(CFM)に登録され、緊急医療を専門としていた。彼はSAMUの救急医として働き、州都ポル・アレグレ周辺の私立診療所でも活動していた。
妻殺害に至った動機などについては公表されていない。