「世界のウチナーンチュの日」を記念して10月30日夕方、日本の沖縄テレビ放送(OTV)ニュース番組の中で約10分間の特集『第二次大戦 日系人迫害 サントス事件 81年目の謝罪』(松林要樹ディレクター)が放送された。動画リンク(https://youtu.be/KpDUwnKF0lU?feature=shared)。
これは、7月25日にブラジリアで行われた恩赦委員会による日本移民への連邦政府の謝罪審議のドキュメンタリーだ。サンパウロ市の沖縄県人会メンバーを中心とした約60人のバスツアーに同行した松林監督が、綿密な取材の内容をコンパクトにまとめた。
大戦中の1943年7月にスパイ容疑をかけられた日本移民6500家族が、サントス海岸部から24時間以内に強制退去させられた「サントス事件」などに関する政府謝罪だった。
番組の中心になっているのは、松林監督の映画『オキナワ サントス』(2021年)の主要証言者で、3年前に亡くなった佐久間ロベルトさんの未亡人千枝子さんの感動的な証言だ。
千枝子さんは恩赦委員会の前、「ロベルトは7歳の時のサントス強制立ち退きという悲しい出来事を周りに語ろうとしても、誰も知らないため共感されなかった。彼は過去に折り合いをつけられないままだった」とのトラウマを語った。だが謝罪の後は「夫は80年以上これを待ち続けた。彼は今ここに一緒にいて喜んでいる」と肌身離さず身に着けているペンダントの中の写真を見せた。
『オキナワ サントス』の撮影時から当地沖縄県系人との長い付き合いをしてきた松林監督ならではの、被取材者との距離の近さを感じさせる熱い作品となっている。
放送後、ニュースキャスターの2人は「ブラジル政府が負の歴史に向き合い謝罪したことは世界的にも大きなこと」「知らないと起きていないは同じ事ではない。知っていくことや伝えていくことの重要性を改めて実感した」などとコメントを述べていた。