3日、サンパウロ市インテルラゴス・サーキットで開催されたF1レースで7度の年間チャンピオン獲得の経験を持つ、イギリス出身ライダーのルイス・ハミルトンが、アルトン・セナが使用していたマシンを走らせ、セナの没後30年の追悼セレモニーを行い、サーキット会場に感動をもたらした。3日付のテーラ(1)やUOLサイト記事(2)などの現地メディアがその様子を取り上げた。
本田技研工業が所有するマクラーレンMP4/5Bは、当時アイルトン・セナとともに働いていたホンダのメカニック立ち会いのもと、日本からサンパウロのインテルラゴス・サーキットに輸送された。このマシンは、セナが1990年に世界チャンピオンを獲得した時に使用していた機体だ。
メカニックたちがマクラーレン・ホンダのV10F―1エンジンを始動させると、アイルトン・セナとともに働いた日本人メカニックの目には涙があふれた。
今回、サンパウロGPで没後30年の追悼イベント「SENNA SEMPRE(セナよ永遠に)」をホンダとマークレン・レイシングが協同で行った。
アルトン・セナの着ていた白スーツ、ヘルメットをこの日の為に再現し、ハミルトンはそれらを着用し追悼式に参加した。大雨の中、サーキット場でハミルトン選手は当初、1周だけの予定だった。だが観客と共に感極まったハミルトン選手は結局4周し、途中から、ブラジル国旗を手に掲げながら走り続け、観客を喜ばした。
セナの功績を称えた歓声「オレ、オレ、オレ、オラ、セナ、セナ」が観客席から響いた。セナがブラジルスポーツ界でとても大切な存在であることや、ハミルトン選手とブラジルの深い関係性を見せつけた。
幼少期からセナの大ファンだと公言し、2022年にブラジル名誉市民になったハミルトン選手は、今回の話を貰った時はとても喜んだと話した。「マクラーレンでこのサーキットを走ったことはとても名誉なことで、とても幸せです。できることなら本戦でもこのマシンで走りたいです。ブラジルの皆さんありがとう」と話した。
この日、46歳の誕生日で、レースを観戦していたファンのジョゼ・ルイス・ロドリゲスさんは涙を浮かばせながら「セナを追悼することが僕にとっての誕生日プレゼントだ」と喜びを語った。
マナウスにある工場「モトホンダ・ダ・アマゾニア」を訪問していた本田技研工業株式会社取締役代表執行役社長兼CEOの三部敏宏氏も追悼式に参加した。
式典にはセナの妹ヴィヴィアーネ・セナさん、甥のブルーノさん、姪のビアンカさんとラリさん、そしてセナ財団が出席した。ビアンカさんは「セナの象徴的なマシンに、象徴的なエンジン音にこの象徴的なサーキット場だ…」と感動をあらわにした。
デモ走行後、ヴィヴィアネさんが、ハミルトン選手にセナのヘルメットのレプリカをプレゼントした。
一方、Netflixは同配信シリーズ制作で『セナ』(全6話)を、没後30年を機に、11月29日(金)から世界独占配信すると発表している。同シリーズは、親族の協力のもと、セナの実家でも撮影が行われ、彼の内面にも迫った作品として注目を浴びている。