日本政府は3日、令和6年秋の叙勲受章者を発表した。ブラジルからは邦人叙勲2人、外国人叙勲5人となった。受章者7人の経歴は次の通り。(敬称略)
ホビソン・ブラガ・デ・アンドラーデ(75歳、ミナス・ジェライス州在住、旭日重光章、在ブラジル日本国大使館推薦、外国人叙勲)。ブラジル全国工業連盟(CNI)会長を2010~23年の間務め、日伯間経済の発展に貢献した。1973年創設の日・ブラジル経済合同委員会では、ブラジル側主催団体会長として政策提言の取りまとめに尽力し、直近の第24回委員会では、日本とメルコスールの経済連携協定締結などを政策提言する「日伯経済関係の推進に向けた共同声明」を発表し、上川外務大臣、西村経済産業大臣に建議した。その結果、2017年以来開催が途絶えていた日・メルコスール経済関係緊密化のための対話が2024年に再開された。ブラジルの複雑な税制の是正や、労働者を過度に保護する労働法制の改正に取り組み、ブラジル統一労働法改正、複数の消費関連税を統合する付加価値税創設のための憲法修正などに貢献した。
タダヨシ・ハナダ(78歳、サンパウロ州カンピーナス市、旭日単光章、在サンパウロ総領事館推薦、外国人叙勲)。前カンピーナス日伯文化協会会長、カンピーナス日本祭り実行委員長。2005年にカンピーナス日伯文化協会会長に就任すると、同市で初めてとなる日本祭りの開催を企画・実行し、日本祭りを同市の公式行事として認められるほどに成長させた。若手日系人が主体的に活動するための環境整備に尽力し、カンピーナス市が姉妹都市提携を結んでいる岐阜県岐阜市との交流促進にも貢献。2018年、ブラジル日本人移民110周年を記念して眞子内親王殿下がブラジルを訪問された際には、カンピーナス市と協力して同市ご訪問成功に寄与した。
水島ロベルト富士雄(70歳、バイア州サルバドール市、旭日双光章、在レシフェ総領事館推薦、邦人叙勲)。元バイア日伯文化協会連合会会長、元サルバドール日伯文化協会会長。サルバドール日伯文化協会会長を通算15年間務め、2008年に「日本人ブラジル移住100周年記念」を祝う行事として「サルバドール日本文化祭」を初開催した。同行事は、その後も毎年開催され、例年約8万人の参加者で賑わう一大日本文化普及イベントとなった。バイア日伯文化協会連合会会長時代には、世代交代などで活動が困難な傘下団体のために「東北伯日伯文化協会統合フォーラム」を設立して、関係団体の関係を強化。傘下団体は往年の活気を取り戻し、運動会などの年中行事が各移住地で復活した。
コウジ・フカサワ(83歳、リオ・デ・ジャネイロ州リオ・デ・ジャネイロ市、旭日双光章、在リオ・デ・ジャネイロ総領事館推薦、外国人叙勲)。1997~99年にリオ・デ・ジャネイロ日系協会副会長を務め、99~2001年まで同協会会長を務めた。01~23年にリオ・デ・ジャネイロ州日伯文化体育連盟副理事長を務め、23年から現在まで同連盟理事長を務めている。リオ・デ・ジャネイロ州内の各日系団体の協力を得つつ、各種日系イベントを実現し、同州における日系社会の活性化及び日伯両国間の文化交流に貢献した。
キヨミ・マサキ(64歳、パラナ州クリチバ市、瑞宝単光章、在クリチバ総領事館推薦、外国人叙勲)1960年パラナ州出身。パラナ連邦大学で森林工学を学び、同州政府機関にて林業技士として務める。森林科学専攻の修士号も取得し、同分野の専門家として活躍していたが、移住者であった父親の影響もあり、徐々に日本への関心を強め、1995年に在クリチバ日本国総領事館に就職した。以来、約30年にわたり広報文化班員、総領事秘書などとしてブラジル南部における日本の外交活動の展開に大きく貢献した。計5回の天皇陛下及び皇室のパラナ州御訪問受け入れに携わり、常に中心的な役割を担った。
生田勇治(77歳、パラー州ベレン市、旭日双光章、在ベレン領事事務所推薦、邦人叙勲)。医師として勤務する傍ら、北伯日系社会を代表する組織である汎アマゾニア日伯協会会長及びアマゾニア日伯援護協会会長、アマゾニア病院院長を歴任し、日系社会の融和発展、医療福祉向上に尽力した。州政府と交渉して協力を得、アマゾン日本人移住80周年、日伯外交関係樹立120周年、日本人ブラジル移住110周年、アマゾン日本人移住90周年という大規模周年行事を成功に導いた。アマゾニア病院開設当時、医学生として巡回診療活動に従事し、長年にわたって同地域における医療向上に貢献している。文部科学省国費留学生、JICA研修生でもあり、留学生OBで組織されるパラー州日本ブラジル留学生同窓会の会長として、優秀な候補者の発掘にも尽力した。
ジャウロ・ドゥアルテ・フォン・ゲーレン(79歳、リオ・グランデ・ド・スール州ポルトアレグレ市、瑞宝中綬章、在ポルトアレグレ領事事務所推薦、外国人叙勲)。1999年4月1日から現在に至るまで、在ポルトアレグレ日本国総領事館、在ポルトアレグレ出張駐在官事務所、在ポルトアレグレ領事事務所の顧問弁護士を連続25年にわたり務めてきた。顧問弁護士として法律面における強力かつ信頼のおけるサポートを提供し、「日本国在外公館活動に寄与」したとして叙勲された。