「海外の皆さんの反響の良さに驚いています」―10カ国語以上に翻訳され、世界で110万部以上販売されている、大人のためのおとぎ話漫画『とつくにの少女』の作家ながべ氏(31歳、東京都出身)が7日に編集部に立ち寄り、インタビューに応じてそう語った。ブラジルでは「A Menina do Outro Lado」として翻訳出版され、当地の若者にも大人気で同日午後2時からサンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会(文協)ビル大講堂で行われたアニメ版上映会、サイン会に多数のファンが駆け付けた。
ブラジルでの漫画出版元のダークサイド・ブックスが国際交流基金サンパウロ日本文化センターと提携し、「ながべダークツアー2024( Nagabe Dark Tour 2024)」を企画し、漫画家ながべ氏を招聘し、7日から10日までサンパウロ市各所でイベントを開催、ファンとの交流を実施している。
大講堂にできた長い列の先頭にいたジャミーレ・シャリリさん(26歳)は「3年前アマゾンのサイトでマンガを探していた時に偶然見つけ、表紙の繊細な絵に魅かれた。あのデリケートな絵柄がたまらないわ」と目を輝かせながら述べた。
ルイザ・ノゲイラさん(25歳)にも聞くと、「先生のキャラが一番好き。彼が献身的に、ひたむきにシーヴァを守り、助ける理由が知りたい。そこに魅力がある。まず絵がとてもデリケートで魅かれるし、こんなストーリーは見たことない」と熱く語った。
作者に質問したいことを尋ねると、二人とも「この作風や絵柄、ストーリーのインスピレーションの源泉はどこにあるのか。どんな作家から影響を受けたのか」という。ながべ氏にそれを直接ぶつけると「ムーミンで知られるトーベ・ヤンソン(Tove Jansson)と、アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey)です。特に後者は目標とする作家で、私も、どこか不気味な世界観を描きたいと思っています」と説明した。
さらに「白い紙に黒いインクだけで描くことで、カラフルな絵よりも想像力をかきたてるものがあると思います。見た人の想像の余地を残すのが好きなんです。例えば黒い水溜まりを描いても、それが血溜まりにも見える、そんな不気味な情景に魅かれます」とも。
すでに海外でのサイン会はフランス、イタリア、スペイン等でもこなし、今回はブラジルへ。「最初は2巻ぐらいかなと思って始めた連載でしたが、海外の皆さんの声などに背中を押されて11巻まで描かせてもらいました。海外の皆さんの反響の良さに驚いています」と謙遜した。
今後のイベント予定は以下の通り。
■8日(金)午後7時/アニメ「とつくにの少女」上映、作者とのトークショー 場所・サンパウロ文化センター(Rua Vergueiro, 1000, Paraíso – Sao Paulo)無料。整理券は1時間前に先着順で配布
■9日(土)午後2時/作者とのトークショー・サイン会(30人) 場所・日伯文化連盟(Rua Deputado Lawerda Franco, 328, Pinheiros, Sano Paulo)無料。参加券およびサイン会無料券は2時間前に先着順で配布
■10日(日)午前11時/サイン会(60人) Livraria da Vila(Rua Fradique Coutinho, 915, Pinheiros)無料。整理券は1時間前に先着順で配布。