ルーラとミレイが冷めた握手=G20サミットで個別会談なし

他の首脳らとは対照的に、ミレイ・アルゼンチン大統領と真顔で写るルーラ大統領(中央)(Foto:Ricardo Stuckert/PR)
他の首脳らとは対照的に、ミレイ・アルゼンチン大統領と真顔で写るルーラ大統領(中央)(Foto:Ricardo Stuckert/PR)

 リオ市で開催されたG20サミット初日の18日、ルーラ大統領が会場入り口で各国の首脳を迎え入れる場面で、特に注目されたのはアルゼンチンのミレイ大統領との冷ややかなやりとりだった。このシーンはフォーリャ紙が制作したモンタージュ写真に収められ、その画像がネットで急速に拡散していると同紙(1)が報じた。
 ルーラ大統領は他の多くの首脳たちとは笑顔で握手を交わし、ハグやキスなどを交えながら温かい歓迎の姿を見せる一方、ミレイ大統領との握手は明らかに冷ややかで形式的なものであり、両者の距離感が強調されていた。わずか15秒のやり取りだったが、両者のイデオロギー的対立や外交的な立場の違いを象徴し、冷え切った関係を浮き彫りにした。
 このモンタージュ写真では、ルーラ大統領とともにチリ、南アフリカ、フランス、イタリア、インド、英国、日本、米国の首脳とのツーショット写真も含まれている。中央に配置されたルーラ氏とミレイ氏の険しい表情が際立ち、他の首脳らとは対照的な印象を与えている。
 さらに、この場面を挑発的に編集した動画がXに投稿され、あろうことかミレイ大統領本人が共有したことで状況は一層激化した。(2)
 動画内でルーラ大統領は、他の首脳らとは明らかに異なり、ミレイ大統領と接する際には笑顔もなく、よそよそしい態度を見せている。その直後、ミレイ氏とボルソナロ前大統領と熱い抱擁を交わすシーンに移り、保守派との連携を強調する様子が映し出されている。ミレイ氏の投稿には、ルーラ氏に対する批判的な言葉が並べられ、「左翼や共産主義者は近づかない方が良い」といった内容が含まれていた。
 このやり取りは両大統領の関係性を反映しており、特に昨年のアルゼンチン大統領選挙でミレイ氏が勝利して以来、両者の関係は決して良好とは言えない。ミレイ氏は選挙戦でルーラ氏を「腐敗者」と非難し、「共産主義者」として交渉しないと公言していた。
 今回のG20サミットでも当初、性別平等や超富裕層課税、2030アジェンダに関するブラジルの立場との対立を示し、ブラジルの外交官は首脳宣言の最終文書をまとめることが困難になるのではないかと懸念していた。
 ミレイ氏がアルゼンチン大統領に就任して以来、両大統領は一度も二国間会談を行っておらず、今回のG20サミットにおいても個別に会談することはなく、相互に距離を置いたままだった。(3)

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