ブラジル公式訪問した中国の習近平国家主席が20日、ルーラ大統領に月の石を贈った。これは中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」によって、地球からは見ることのできない月の裏側の領域で採取されたサンプルで、歴史的な意義を持つ。習主席の訪問はブラジルとの外交および商業関係の強化を目指したもので、この贈り物は彼の本気度を示す象徴と考えられると21日付テラなど(1)(2)が報じた。
贈り物の交換は、首都の外務省「イタマラチ宮殿」で開催された夕食会の数分前に行われた。中国は今年6月、世界で初めて月の裏側のサンプルを持ち帰るという偉業を達成し、科学研究用の1グラムと展示用のサンプル0・3グラムがブラジルに送られた。
ブラジル側からは北部パラー州マラジョー島の先住民族マラジョアラに受け継がれる陶器の花瓶などが贈呈された。
夕食の席では二国間協定についても議論が交わされ、技術と貿易における協力の深化についてのコミットメントが強調された。
中国代表団には、ブラジル通信省と19日に契約を締結した衛星通信分野の民間企業、スペースセイルの関係者も含まれていた。同社は米起業家イーロン・マスク氏がCEO(最高経営責任者)を務めるスペースXが展開するスターリンクの競合だ。
地球低軌道(LEO)衛星を使用した高速インターネットサービスを展開するスペースセイルは、ブラジル国営通信会社(テレブラス)と衛星通信およびブロードバンドインターネットサービス提供のための覚書を交わした。
ジュセリーノ・フィーリョ通信相は、「我々が取り組んでいるのは、ブラジル社会、特に遠隔地において、今日では不可欠なサービスを提供する企業を複数選べるようにすることだ」と述べた。
現在、中国は1059基の衛星を軌道に持ち、うち492基は商業用であると、国営通信社「新華社」は報じている。
中国の民間企業および国営企業は、武器製造企業を含め、LEO衛星の打ち上げを加速しており、数千基の衛星を用いたメガコンステレーション(大量の人工衛星によって構成される衛星網)を構築することで、スターリンクに挑戦すると約束している。
スペースセイルは声明で「我々がブラジルに提供する衛星通信サービスは、広帯域、多層、複数軌道の設計を採用した巨大なLEO衛星の『千帆星座(Constelação Mil Velas)』を基盤として実施される」と説明した。