連警=60億レの金融犯罪組織を摘発=中国拠点に15カ国で資金洗浄

PFによる一斉捜査の様子(Foto:Divulgação/ Polícia Federal)
PFによる一斉捜査の様子(Foto:Divulgação/ Polícia Federal)

 サンパウロ州カンピーナス市の連邦警察(PF)は26日、過去5年間で約60億レアル(約1580億円)の金融犯罪を行った疑いのあるグループに対し、6州とブラジリアで一斉捜査を実施した。この組織は中国人が関与し、15カ国に対してマネーロンダリングや外貨不正流出を行い、複雑な非法銀行システムを運営していたと同日付CBNなど(1)(2)が報じた。
 捜査によると、犯罪グループは主に不正な金融取引や資金洗浄の手法を用い、過去数年間で1200億レアル(約3兆1663億円)以上を動かしていた。
 特に今年はリーダーが単独で8億レアルを操作し、1日あたり20億レアルを動かすことができる企業や銀行口座を開設し、ネットワークを拡大していたとされる。同組織は銀行や金融機関を介して合法的な取引と見せかけ、不正資金を国外に移動させることを目的とした、非常に精緻なシステムを作り上げていた。
 グループのメンバーには、ブラジル国内外の警察官や銀行の支店長、会計士などが含まれ、さらに不正を裏で支える「ラランジャ(名義貸し人)」やダミー企業を使った手口が明らかになった。
 特に、組織は中国や香港を主要な資金移動先としており、米国、カナダ、パナマ、アルゼンチン、ボリビア、コロンビア、パラグアイ、ペルー、オランダ、英国、イタリア、トルコ、アラブ首長国連邦など世界各地へと資金が流れていた。組織の目的は、主に中国向け資金の流れを処理することだったが、資金を隠匿したりマネーロンダリングを行いたい人々に広くサービスを提供していたとされる。
 PFの捜査は22年に始まり、メンバーや関係者を追跡する中で、組織が使用していた複数の犯罪手法が明らかになった。例えば、偽造の請求書や輸出入書類、銀行取引の分散化など、従来のマネーロンダリングの手法に加え、フィンテック(金融機関とIT技術を合わせたサービス)を活用した新しい方法や、仮想通貨への資金移動といった手段も取り入れられていた。
 PFによると、同組織はこの新しい手法やツールを駆使することにより、数百万レアルから数十億レアル規模の資金を動かすことが可能になったという。
 今回の捜査ではサンパウロ州、エスピリト・サント州、パラナ州、セアラ州、サンタカタリーナ州、バイア州の6州のほか、ブラジリアでも捜査が行われ、合計16件の勾留令状と41件の捜索差押えが執行された。約200人の警官がこの捜査に関わり、押収された証拠物はカンピーナスのPFに送られた。さらに、連邦裁判所は、関与した214社の資産に対して、100億レアルの凍結措置を取るよう命じた。
 この組織は麻薬や武器、密輸といった他の犯罪組織ともつながりがあった可能性があり、PFはその関与についても調査を進めている。捜査対象者らは組織犯罪、資本隠匿、外貨不正流出の罪で起訴される見込みであり、最高で懲役35年の刑が科せられる可能性がある。
 今回の捜査作戦名「タイ・パン」は、ジェームズ・クレイトンが1966年に発表した歴史小説の名前だ。19世紀の香港を舞台に、商人ダン・リークとそのライバルたちの壮絶な戦いを描いている。リークは香港島を支配し、英帝国と中国の間での権力争いの中で命運をかけた決断を下すというストーリーだ。

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