「子供たちの未来を作っている」=福田さん6度目の来伯寄付=野球道具140kg分携え

野球道具の寄付を受け取った少年野球チーム「グァララペス」と福田さん(中央)

 ブラジルの野球少年のため、野球道具の寄付活動を行っている福田雄基さん(33歳、千葉県出身)が10月30日から11月5日の日程で来伯し、サンパウロ州イビウナ市の少年野球チームなど24チームに総重量140kg分の野球道具を寄付した。活動報告のため5日、編集部を訪れた。
 幼いころから野球に親しんできた福田さんは、2016年のリオ五輪の際に初めてブラジルを訪れ、経済的理由から野球道具を手に入れられず、野球ができない子供たちの存在を知り、寄付活動を始めた。
 活動開始当初、福田さんの呼びかけで寄付用の野球道具は集まったが、航空費などの活動費用を募るクラウドファンディングには6万円しか集まらず、費用の大半を自弁で賄った。
 それでも活動を続けて支援者を増やし、6度目となる今回の来伯寄付では、元ソフトバンクホークス監督の工藤公康氏が寄付品集めに協力、クラウドファンディングでは65万9千円が集まるまでになった。
 今回寄付した野球道具は、福田さんの元に集まった、ボール450個、グローブ15個、シューズ5足、バット5本、キャッチャー防具5セットと、サンパウロ州マリリア市でソフトボール指導のボランティアを行うJICA隊員の飯田康史さんの呼びかけで集まった野球道具(ボール50個、グローブ15個など)となった。

 福田さんは11月2~3日にイビウナ市の野球場「CTヤクルト」で開催された8歳以下が参加対象の少年野球大会「T―BALL」に合わせて来伯し、参加した24チームの所有する野球道具の状況に合わせて寄付品を配った。
 寄付品を受け取った子供たちは大喜びし、ボールや帽子に福田さんのサインを求めた。保護者らは「ブラジルの子供たちのために無償でここまでしてくれる人がいると最初は信じられなかった。福田さんや日本の皆さんの想いに応えられるよう私達も活動を頑張らなければ」と感謝を語った。また、活動当初からの寄付先となっているグァララペス市の野球チームを通じて、同市市長に寄付活動が伝えられ、市長から福田さんに感謝状が贈られた。
 今回の寄付活動では飛行機代の高騰や寄付品集めに苦労した。飛行機代はコロナ禍前は22万円程度だったが、今回は約40万円となり、寄付品も有志が所有する中古道具は既に寄付し尽くしてしまった。それでも福田さんは「この寄付が子供たちの未来を作っていると思うとやめたくない。時間とお金のかかる活動だけどそれだけの価値がある」との思いから支援者と寄付品を募り、活動を継続した。これまで自弁した諸々の活動費用は高級車一台分にのぼるという。

 福田さんの本業はマーケティング業だが、近頃はネットフリックス配信の恋愛リアリティショー『ラブデッドライン』にも出演。番組内では結婚相手の条件に野球道具の寄付活動を理解してくれる人をあげた。
 福田さんは8年間の活動を振り返り、「今回、小学生の頃に寄付品を贈った子が大学生になって会いに来てくれ、再会を喜んでくれました。子供の成長や、言葉がわからなくても野球で通じ合える体験は本当に価値のあるもの」と語り、「それでも活動を長く続けていると一人で行うことに限界が見えてきます。今後は皆さんから支援を募ると共に、一緒に活動を行ってくれる仲間を探したいと思っています」と語った。

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