ブラジル・中国関係は戦略的新時代へ=50周年を機に強化される連携

11月20日、ブラジル大統領官邸で習近平国家主席を迎えたルーラ大統領(Foto: Ricardo Stuckert/PR)
11月20日、ブラジル大統領官邸で習近平国家主席を迎えたルーラ大統領(Foto: Ricardo Stuckert/PR)

 ブラジル中国文化研究所(Ibrachina)のトーマス・ロー理事長は3日付コレイオ・ブラジリエンセ紙(1)に、次のようなブラジルと中国の関係の未来展望を投稿した。
 ブラジルと中国は今年、外交関係樹立50周年を迎え、両国の戦略的パートナーシップはさらに強化されている。11月に行われた二国間首脳会談で署名された37件の新たな覚書は、経済、技術、インフラ、文化など多分野で協力を拡大し、ブラジルを中国の主要なパートナーとして位置付け、より多様化した協力関係を展望する象徴的なものとなった。
 両国の協力は、1988年に締結された地球観測衛星計画(CBERS)に遡る。これは両国が共同で衛星を開発し、地球資源を監視するための技術向上を目指すものだ。これまでに6基の衛星が打ち上げられ、環境管理、農業、都市計画、陸地監視などの分野で活用されている。
 昨年、CBERS―6衛星の開発に関する協定が結ばれ、純ブラジル製の多目的プラットフォームと、中国製の合成開口レーダーを搭載した新世代の衛星の共同製造が進められている。この衛星は、悪天候時でもデータ収集が可能で、アマゾン地域などの雲の多い地域での有用性が期待されている。
 技術の進展に加えて、37の新たな覚書により、再生可能エネルギー、バイオテクノロジー、農業技術など新たな分野での進展が見込まれている。中国は2050年までにカーボンニュートラルを目指している。両国は持続可能な開発の実現に向けて協力を強化している。
 貿易面では09年以降、中国はブラジルの最大貿易相手国となり、24年1〜10月までの貿易額は1363億ドルに達した。この数字は主に大豆、鉄鉱石、牛肉などのコモディティ輸出によるもの。23年には貿易額が過去最高の1570億ドルを記録した。中国からの輸入も増加中で、特に機械、電子製品、化学製品が中心だ。
 中国はブラジルにおける重要な投資国であり、07〜24年までに660億ドル以上の投資を行っている。これらの投資は主にインフラ、再生可能エネルギー、通信分野に集中しており、特に港湾や鉄道の近代化が進められている。
 中国企業はブラジルの技術分野においても影響力を持ち、5G通信技術や人工知能、電気自動車などの分野でも協力が進んでいる。例えば、BYD社はブラジルにおける電気自動車の生産拠点を開設し、環境に優しいエネルギー技術の導入が進められている。
 文化交流も重要で50周年を記念した文化交流イベントが数多く開催された。26年にはブラジル・中国文化年が予定されており、両国の文化的結びつきがさらに強化されることが期待されている。
 さらに両国は気候変動や持続可能な開発に関する国際的な議論でもリーダーシップを発揮中だ。今年開催されたG20サミットや、25年に予定されているCOP30を通じて、特にアマゾン地域の環境保護や炭素排出削減に向けた課題に共に取り組む姿勢を強調している。
 ブラジルと中国の関係はかつてないほど強化されているが、今後の可能性はさらに大きい。相互尊重とグローバルな解決策を求めるこのパートナーシップは、両国の経済的利益にとどまらず、国際社会全体に対しても大きな影響を与える力を持っている。

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