在日ブラジル人に老人ホームを=千葉県の旧特養施設を転用で

旧特養施設の外観

 1990年の入管法改正により日本で「定住者」の在留資格が新設されて35年目となり、現在日本に住む21万人余りの日系人の中には老後も子どもや孫とともに日本で過ごしたいと考える人が大勢を占めるようになってきたと推測される。そんな中、一般社団法人「日本海外協会」によれば、千葉県木更津市で特別養護老人ホームとして使われていた施設を、在留外国人高齢者向けの介護施設に転用しようとする動きがでてきた。

 ブラジルでは日本移民50周年の1958年、初めての日系老人ホーム「憩の園」が救済会によって創立された。その後、サンパウロ日伯援護協会が運営するサントス厚生ホームやイッペイランジアホーム、桜ホーム、パラナ州マリンガの和順会老人ホームなどが続々と作られてきた。
 在日ブラジル人コミュニティも1985年から訪日ラッシュが始まっており、当時20歳だった日系人は来年還暦を迎える。ブラジル日系社会と同じことが、今後日本のブラジル人コミュニティでも予想される。在日日系人の永住権取得者や帰化申請者が年々増加しているのは「老後は日本で」と考えていることの表れと見られているからだ。10年後の高齢化率は日本人と同程度に上がりそうな雲行きだ。
 加えて、高齢になってから日本に永住帰国して訪日就労中の子供と同居する一世の親や二重国籍の人は統計からは見えづらい。日本で高齢化する在留外国人の老後をどう支えるのかは喫緊の課題となってきている。
 そのような流れから、日本にも在留外国人高齢者向けの介護施設の必要性が叫ばれ、この度、介護施設が借りられる目処が立ったという。その施設は千葉県木更津市にあり、2年前まで特別養護老人ホームとして使われていた。
 ブラジルで育った日系人は言葉、食事、生活習慣等が日本人とは異なり、子どもや孫が来所しても言葉の面などで配慮が必要となり、この施設は利用者、介護職員とも日系人、在留外国人で運営を行う日本で初めての施設となる予定だ。
 できれば2025年には工事開始、入居者募集したいとのこと。
 この動きをサポートする一般社団法人「日本海外協会」の代表理事、林隆春氏は「働けなくなったら、また介護が必要になったらどうなるのか。在留外国人のみなさんの不安で心配で淋しさで心が押し潰されそうな思いに、少しでも応えていく施設運営を目指しています。みなさまのご支援とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」と呼びかけている。運営母体や問い合わせ先が正式に決定され次第、詳細が発表される予定。

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