待合室で座ったまま命落とす=救急治療を求めたが放置され

UPAの待合室で、座ったまま首をうなだれて亡くなったジョゼさん(Foto: Reprodução)
UPAの待合室で、座ったまま首をうなだれて亡くなったジョゼさん(Foto: Reprodução)

 リオ市西部シダーデ・デ・デウス地区の救急医療センター(UPA)に32歳の男性が腹痛を訴えて駆け込んだが、診察を受けることなく、待合室で椅子に座ったまま死亡した。男性は激痛で叫び、緊急治療を求めたが対応されなかった。リオ市保健局は対応した職員を解雇し、詳細な調査を開始したと、16日付G1など(1)(2)(3)が報じた。
 事件は13日夜に発生。目撃者によると、ジョゼ・アウグスト・モタ・シルヴァさんが腹部に激痛を抱えてUPAに到着し、トリアージ(傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めること)を受けた後、治療を受けることなく座ったまま亡くなった。現場にいた1人が撮影した動画には、職員がジョゼさんに近づき、彼に生体反応がないことを確認した後、ストレッチャーで運ばれる様子が映っている。
 ジョゼさんの死は、家族や地域社会に深い衝撃を与えた。父親のアドンさんは、「息子は痛みで叫びながらも、医療スタッフに無視され、誰も助けようとしなかった。彼はただ治療を求めていただけだった」と涙ながらに語った。
 妹のメリアーニさんによると、ジョゼさんは数カ月前から慢性的な腹痛に悩まされており、何度もきちんとした医師の診察を求めたが検査すら受けられなかった。「痛みが長期間続いていたにもかかわらず、鎮痛剤を毎回処方されるだけで帰されていた」と話した。彼女は医療機関の無責任な対応に怒りを表し、「非人道的」と非難した。
 リオ市保健局は、事件後に調査を開始し、対応した職員20人に対して解雇処分を決定したと発表した。保健局のダニエル・ソランズ局長は、「このような事態は絶対に許されない。患者の対応、リスク分類、患者の流れに関する責任は、当直のスタッフ全員で共有されている。職員が事態の深刻さを認識しなかったことは重大な過失であり、厳しく対処する」と述べ、詳細な調査を行うことを約束した。
 ジョゼさんは心肺停止に陥ったことが確認されているが、死因はまだ公式に発表されていない。遺体は法医学研究所(IML)に送られ、詳細な検査が行われる予定だ。
 ジョゼさんはサンパウロ州内陸部モジ・グアス市出身で、2021年にリオ市に単身移住した。親族によると、健康上の理由で解雇されることが多く、職を転々としており、路上生活をしていた時期もあった。現在は清掃スタッフとして働いており、クリスマスはサンパウロ州に帰省し、家族と過ごす予定だったという。

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