モデルと偽り中東欧米で売春強制=若い女性らを狙った悪質犯罪

PFによる捜査の様子(Foto: Distribuição PF)
PFによる捜査の様子(Foto: Distribuição PF)

 連邦警察(PF)は18日、モデル事務所を名乗る人身売買組織を解体するため、「キャットウォーク作戦」を実施した。この組織は、女性に対して国外でのモデル業務を提供すると偽り、実際は性的搾取を目的とした人身売買を行っていた。同日付G1など(1)(2)が報じた。
 リオを拠点にしたモデル事務所が、若い女性をターゲットにし、モデル契約を持ちかけて騙す手口で運営されていた。女性たちに国外でのモデル活動を約束し、ドバイなどの外国に送る手配をしていた。だが実際にはその目的は性的搾取であり、女性たちは国際的売春ネットワークの一部として利用されていた。
 捜査のきっかけはサンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポスに住むある母親からの通報だった。この母親は、自分の娘がリオのモデル事務所に応募し、モデル業としての仕事を提供される約束を受けていたが、行き先が明らかにされず国外に送られることを不審に思い通報した。
 PFは即座に捜査を開始し、通報者の娘が同事務所によって国外に送られる計画を未然に阻止した。この騙しの手口により、少なくとも10人以上の女性が被害に遭っていることが確認された。実際には、被害者たちは契約内容に不当な条項を盛り込まれ、パスポートを奪われ、国外に送られた後は、自由を制限され、すべての行動が監視されるという状況に置かれていた。
 この組織は被害者たちをドバイに送り、そこで再度選別を行い、サウジアラビアや欧州、米国などに移送していた。移送先での女性たちは行動の自由を奪われ、性行為を強制された上、性的活動で得た収益も「コミッション」として払うよう、強制されていた。
 彼女たちは自身のSNSで贅沢な生活を投稿するよう強制され、新たな犠牲者を誘引するための「広告塔」としても利用されていた。
 PFの捜査によって組織の一部が摘発されたが、その規模は非常に大きく、毎月数十人もの女性が国外に送られていたことが明らかになった。組織内部では、女性たちを強制的に働かせるため、暴力や脅迫が行われ、性的活動を通じて得られた利益が「コミッション」として組織に上納されていた。報道によるとコミッションの割合は最大で60%に達していたという。
 今回のPFによる摘発作戦は、ブラジル政府が進める「人身売買対策第4次国家計画」の一環として行われた。この計画には女性やLGBTQIA+コミュニティを対象とした対策が盛り込まれており、性的搾取の被害を受ける人々を守ることが重点的に扱われている。
 ブラジル法務省(MJSP)はこの計画を通じて、人身売買の防止と被害者支援を強化している。特に、国外における人身売買が横行している現状において、国際的な協力体制の強化が求められている。
 同省のマリーナ・ベルナルデス氏は「人身売買は女性、少女、LGBTQIA+の人々に深刻な影響を与えている。社会的不平等や差別が、こうした人々を脆弱にしている」と強調している。

最新記事