サンパウロ市リベルダーデ区グロリア街に1997年に開店した便利生活雑貨用品店トレンディ(幕田正夫社長)が、24年12月23日から30%引きの閉店セールを始めた。1月10日をめどに閉店する予定だ。
幕田さん(76歳、福島県出身)は1981年にブラジル移住。上智大学英文学科卒業で、三井系エンジニアリング企業に勤め、その関係でペルナンブコ州都レシフェに半年間駐在した際、日系2世の女性に出会い、その後に結婚。「ブラジルに住む」ことが条件だったので、東京での勤めを辞め、1981年に妻の実家があるモジ・ダス・クルゼス市に移ったという変わり種だ。ブラジル・ソフィア会の会長も務めてきた。
その後、ウニベルツール旅行社、ブラジル住友商事などに勤務後、独立。当時、1・99レアルショップがブラジルで流行り始めていたのを見た友人が日本の100円ショップの商品の輸入を始めたことから、「じゃあ、自分が販売する店を開く」と決断し、97年12月に開店した。「開店した頃、数年間はすごいお客さんで店内が通れないぐらいにごった返し、店頭にも列ができた」と振り返る。
08年のリーマンショック頃にレアル安が進み、日本から輸入した商品が1・99レアルでは売れなくなり、国内商品を同時に売るようになった。10年頃からダイソー商品の販売をブラジルで最初に始め、当時は「飛ぶように売れた」と思い出す。12年、ダイソーは第1号店を開店し、それ以降、快進撃を続けている。
その一方でトレンディからは客足が遠ざかる中、「息子たちは全然違う分野(弁護士)の仕事をしています。パンデミック時に売り上げが3分の1から4分の1に激減。その後も全然回復しない状態が続いていたので、閉店を決意しました。息子たちに薦められて、この閉店セールもやることにしました」とのこと。
ここ10年ほどリベルダーデ区ではどんどん日系店舗が閉店し、中国系や韓国系のレストラン等に入れ替わる中、幕田さんは「よく27年も持ったと思いますよ。振り返ったら、あっという間でしたね」と笑みを浮かべた。