■訃報■独自の日本語教授法を確立=学校法人江副学園・新宿日本語学校=江副隆秀校長

江副隆秀校長

 学校法人江副学園新宿日本語学校の理事長兼校長の江副隆秀氏が12月18日(水)、3年間の闘病の末、癌のために自宅で亡くなった。行年73歳。
1951年1月1日、東京生まれ。1975年上智大学文学部卒業。2002年専修大学大学院文学研究科国文学専攻卒業。1975年、父・江副隆愛氏と母・勢津子氏と共に新宿日本語学校を設立。
 1987年「第1回中南米日本語教師合同研修会」に当時の玉川大学・長野正先生と共にブラジルへ1ヶ月間派遣されたのを皮切りに、ブラジルとの深い縁を築く。88年にはJICAから自身に打診されたサンパウロでの派遣を父・隆愛氏に依頼。本人は日本での学校運営の基盤を確立した後、90年から93年まで、日本語教材作成を目的に日本語専門家としてブラジルへ赴任される。ブラジルの日本語教師らと共に「1、2、3日本語で話しましょう」のシリーズを作成した。帰国後は、その経験を生かして「日本語の助詞は二列」「見える日本語、見せる日本語」といった本を執筆。江副文法と呼ばれる可視化した日本語文法を確立した。
 2009年からコロナ禍が始まる2019年まで10年間にわたり、ブラジル日本語センター主催の「全伯日本語教師合同研修会」へ自費で参加。2020年から23年まではWEBでの講義も行った。本年24年は来伯し、講演会を開催する予定だったが、体調悪化のため叶わなかった。
 その一方で、国際交流基金やJICAの研修等でブラジルや全世界から日本へ行った日本語教師らも新宿日本語学校訪問で受け入れ、自ら教鞭をとるなど尽力した。2024年初頭の訪日研修生にも自ら講義を行なっている。
 なお、新宿日本語学校では2024年12月23日より最後のお別れに手紙や献花ができるように祭壇を設置している。また、遠方の人には「#江副先生」あるいは「#Ezoesensei」で公開メッセージも受け付けている。
 一般財団法人・共立国際交流奨学財団の評議員、公益社団法人・東京都専修学校各種学校協会の理事、日本語学校協同組合の理事、一般社団法人・全日本学校法人日本語教育協議会の代表理事、一般財団法人・日本語教育振興協会の評議員などを歴任。2023年には聾教育や日本に来る避難民への教育支援にも尽力し、その功績が認められ文化庁長官表彰も受賞した。

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