昨年末、リオ・グランデ・ド・スル州で姑の作ったクリスマスケーキの小麦粉に、嫁がこっそりヒ素を混ぜ、知らずに食べた姑ゼリさんが入院、その姉妹ら3人が死亡した事件の後、同じような手口で殺されたことを疑われる件が続出し、嫁が「シリアルキラー(連続殺人犯)」である可能性が浮上し波紋を呼んでいる。
クリスマスケーキ事件では息子の嫁デイゼ・モウラ・ドス・アンジョス容疑者のヒ素を混ぜた小麦粉を使ったことにより、姑ゼリさんが自分の姉妹ら家族にケーキを食べさせた結果、3人が死亡、3人が入院した。それを受け、昨年9月に亡くなった舅パウロさんも毒殺された可能性が出てきたため、墓を掘り返して遺体を再検査した結果、同じくヒ素が検出されたと10日付現地メディアで報じられた。
その続報で、現地メディア14日付ABC(1)や14日付コレイオ・ド・ポーポ(CP紙)(2)は、セレベール・リマ捜査官の報告として、デイゼ容疑者の夫ヂエゴ・シルヴァ・アンジョスさんと9歳の息子にも毒が盛られた可能性があるとして、採血するよう科学警察研究所(IGP)に依頼し、夫を今週中に事情聴取するとの警察発表を報じた。
警察は、デイゼ容疑者は他の家族にも毒を盛って殺害した可能性があると疑っている。セレベール捜査官によれば、2020年に67歳で亡くなったデイゼ容疑者の実父ジョゼ・ロリ・ダ・シルヴェイラ・モウラさんも毒殺された疑いがあり、死体の掘り起こしの要請がされる可能性があるという。死亡当時、ジョゼさんは肝硬変が原因で死亡したと診断されていた。警察は、デイゼ容疑者がジョゼさんにヒ素を少量ずつ時間をかけて盛り、毒殺した可能性があるとみている。
ところが、CP紙14日付(3)によればデイゼ容疑者の携帯電話には、昨年9月に舅が死んだ際、姑を慰めるのに自分の父親が死んだ時と比較している部分があった。デイゼ容疑者いわく「パウロ(舅)も私の父と同じように亡くなった」と語ったという。この比較は、容疑者の父も舅と同じように毒殺されたことを示す可能性を示唆するものと警察は見ている。
警察が容疑者の携帯電話を調べたところ、同容疑者は昨年少なくとも4回、ヒ素をネット購入したことが明らかになっている。
14日付CNNブラジル(4)によると、クリスマスケーキを2口食したことが原因で現在集中治療室(ICU)に入院中の姑ゼリさんを見舞った際、デイゼ容疑者はお菓子と水を届けている。警察は、そこで届けられた菓子や水もヒ素入りではないかと疑っており、総合科学捜査研究所による分析が行われている。
デイゼ容疑者は5日からトレス州立女子刑務所に一時拘留されている。弁護側は依頼人の犯罪への関与を否定している。容疑者の弁護側は、警察の捜査書類はまだ公表されていないため、それが揃ってから正式な対応を行うという。