母が「ライオンのように」家族救出=自ら重傷でも、小型機の墜落事故で

墜落した小型機(Reprodução/Redes Sociais)
墜落した小型機(Reprodução/Redes Sociais)

 サンパウロ州ウバトゥーバで9日、小型機が滑走路で止まらずに海岸に激突し、機体が炎上する中、実業家ミレイリ・フリースさん(41歳)が自身も負傷しながら家族を救出するために奮闘した。その勇敢な行動は目撃者らによって「ライオンのよう」と称賛されている。この事故で、機体の残骸に閉じ込められてパイロットが命を落としたが、フリースさんと家族は奇跡的に生還した。
 ゴイアス州ミネイロス市から出発した小型機は、目的地のウバトゥーバ空港に着陸しようとした際、滑走路を越えて道路へ、さらに砂浜から海際に突っ込んで炎上しながらようやく止まった。この機にはフリースさん、夫ブルーノ・アルメイダさん(48歳)、息子ルーカスさん(6歳)と娘アイラさん(4歳)、そしてパイロットのパウロ・セゲットさんが搭乗していた。
 現場では地域住民や観光客が消火活動や乗客の救助にあたった。12日付テラサイト記事など(1)(2)によれば、目撃者によるとフリースさんは「ライオンのような勇敢さ」で子どもたちを救おうとしていたという。
 農夫ジルマー・デステファノさんは「彼女は力ずくで子供たちを救おうとする雌ライオンのようでした。彼女は傷を負っていて、煙の真っ只中でほとんど気も失いかけていた。それでも彼女は何とか一人の子供を救い出し、もう一人の子供も連れ出しました。そして、彼女は夫も連れ出そうとしていた」と証言した。
 小型機は波打ち際でひっくり返った態勢で墜落したため、乗客は自重でシートベルトに体を固定され、外そうとしてもなかなか外れなかったという。フリースさんが最初にベルトを外し、子どもらを助けた。
 外側から窓を壊さないと、中からは脱出できない状態だった。鉄工職人のリノ・フェレイラさんは爆発の危険を顧みず、機体の窓を最初はコンクリートの破片で機体の窓を壊そうと試みたがうまくいかず、電柱の一部と思われる鉄の棒で破壊して中の人々を救出した。「機内に生きている人が見えたので、命を助けたいという一心だった」と振り返る。
 別の救助者ペドロ・ロマーノさんも、煙が立ち込める機内から子どもたちを救い出すのを手助けし、救急車へ運んだ。
 フリースさんが負傷して重体だったにも関わらず、「母親の本能」で子どもたちを優先して救出した。その姿に、多くの人々が称賛の声を寄せている。彼女はカラグアタトゥーバ地域病院に搬送されて手術を受けた後、重篤のままサンパウロ市内のシリオ・リバネース病院に転送された。州保健局によると10日時点で容態は依然として悪いと発表された。一方、夫と子どもたちの容態は安定しており、回復が期待されている。
 墜落事故による死者はパイロット1人のみで、道路を走っていた車の乗客ら負傷者6人が確認されている。事故原因については、滑走路の濡れた状態や視界不良、一部工事中だった滑走路が安全な着陸を妨げた可能性があると報道されているが、まだ調査中だ。

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