昨年12月9日、10日の2日間、聖南西教育研究会主催の林間学校がピエダーデ日本文化学校で行われ、聖南西地区のイビウーナ、ピエダーデ、ソロカーバ、ピラール・ド・スール、コロニア・ピニャール、カッポン・ボニート、レジストロ各市文協の日本語学校7校から、生徒と教師含め約70人が参加した。
林間学校では、各校の生徒(12歳から18歳)が6班のチームに分かれ、FUNKY MONKY BABYSの「ありがとう」の楽曲に合わせ、創作ダンスを作るという課題に取り組んだ。
午前10時半に開会式が行われたあと、生徒はこの二日間の時間を共にするチームに分かれ、ゲームや創作ダンスを作る活動を通して交流を深めた。1日目の昼食、夕食は各班の生徒が調理を担当し、「冷やし中華」や「お好み焼き」などの日本料理にも親しんだ。
午後のスポーツの時間では、ピラール・ド・スール日本語学校所属JICAボランティアの松隈光哲氏指導のもと、「キックベース」が行われた。「キックベース」は野球のルールが元となっているスポーツで、ルールを少し難しいと感じる生徒もいたが、メンバー同士で協力しながら競技に取り組む姿が見られた。
また夜の「キャンプファイヤー」では、キャンプファイヤーダンスの指導を、林間学校の開催校であるピエダーデ日本語学校の生徒がつとめた。キャンプファイヤーの最後には今回の林間学校の創作ダンスの課題曲である「ありがとう」の合唱も行われた。
「きもだめし」の時間もあり、各班でピエダーデ日本語学校やピエダーデ文化体育協会会館周辺をゲーム形式で回った。待っている間は教師による日本の怪談「百物語」も行われ、参加生徒らは怖がりながらもとても楽しんでいる様子だった。
二日目、朝はラジオ体操の後、各校の教師が用意した日本にまつわるゲームで得点を争うレクリエーションが行われた。ジェスチャーゲームや和食に関するゲーム、ひらがななどの文字に関するゲームや、お箸を使った日本文化に関するゲームなど多様なゲームが用意され、生徒たちは知恵を絞り合いゲームに取り組んでいた。
二日目の午後、林間学校の二日間を使って各班が取り組んだ「創作ダンス」の発表会が行われた。審査は「楽しんでいるか」「歌詞の意味にあった表現か」「チームがまとまっているか」「印象・インパクト」の4つの基準で行われた。各班は日本語歌詞の意味を理解して考えた振り付けや、体格差をうまく利用したダンス、曲に合わせた劇形式のようなダンスなどを披露し、会場は大いに盛り上がった。
今回の林間学校に初めて参加したコロニア・ピニャール日本語モデル校の戸田愛梨さん(12歳)は「みんなでダンスを考えるのが楽しかった。新しい友達ができて嬉しかった」と感想を述べた。ピエダーデ日本文化学校の指宿紘嘉(こうき)さん(12歳)は「日本文化や日本語を学ぶことができてよかった。新しい友達もできたし、前からの友達とはもっと仲良くできることができた。来年も参加したい」と述べた。
今回の林間学校で、班の担当教師を務めたピラール・ド・スール日本語学校の島崎さゆり氏は「特に問題なく、全体がスムーズに進んでよかった。初めて班担当の先生をしたけど、生徒も先生もすごく楽しめる行事だと思います」と語った。
林間学校の実行委員会委員長、ピエダーデ日本文化学校の相園明嘉(あいぞのあきよし)氏は、「参加者は協力してルールを守る経験を重ねることができ、時間を守ることやお皿洗いや片付けを積極的に行う姿が見られました。ブラジルでは体験が難しい日本式の行事内容が、生徒たちにとって自主性や協調性を育む貴重な機会となっていると思います。参加者同士や引率の先生方と日本語で会話する努力も見られ、日本語能力の向上にも繋がると考えています」と協力した人たちへの感謝と共に、林間学校の開催意義や、今後の意欲について語った。