東京都六本木ヒルズに所在する学校法人メイ・ウシヤマ学園(山中祥弘理事長・学長)は昨年、日本国内外で活躍できるグローバル人材の育成を目的とした「日系人進学サポート制度」を設置した。この制度はこのたび本格的に始動し、海外および日本国内に在住する日系人(日系人であることを証明できる者)を対象に、今年4月の入学を目指して学生を募集している。
山中理事長には、アルゼンチンに移住した叔父がおり、日本人移民との深い縁を持つ。「終戦後すぐにアルゼンチンから郷里の宮崎県に支援物資が届いた」とその恩義を忘れておらず、「日系人は家族である」との強い思いを抱いている。
そのため、数多くの一流トータルビューティシャンを輩出してきた同学園は、今年が100周年であることからその記念事業の一環として、中南米の日系人に対して特別待遇での就学支援を開始することになった。これまでも外国人留学生を積極的に受け入れてきたが、今回は特別に日系人に焦点を当てた形だ。
同理事長は「国際社会で活躍できる日本人と、日本で活躍できる外国人のグローバル人材を育てたい。教育はリスクのない必ずリターンのある投資である」との強い思いを持っている。
同学園の礎を築いた義父であり、ハリウッドグループの創業者である牛山清人氏(1899–1991)は、日本人移民排斥の風潮が強かった1917年に渡米し、ハリウッド・ハイスクールを卒業後、ハリウッドでメイクアップアーティストとして活躍した人物だ。帰国後の1924年に美容室をオープンし、後にはブラジルとの関係からカブラル賞を受賞した。
「少子高齢化で日本人の若年層が減少する中、日系人に活躍の場を提供したい」との山中理事長の意志と、学園関係者の協力が本制度の設立を後押しした。中南米の日系人子弟が両親の就労に伴って日本に来ても、言語や文化の壁に阻まれ、希望を見失うケースは少なくない。だが手に職を得ることで、日本国内外を問わず自らの夢を実現し、人生を切り開いていくことが可能になる。
「日系人進学サポート制度」では、日本語能力試験N2以上(高卒以上)の日系人に入学金20万円を免除し、N1取得者には専門学校生で2年間40万円(授業料は年間約134万円)、大学院生で2年間72万円の教育充実費が免除される(1年の授業料は133万2千円)。学生寮は月額6万1千円(2食付き、家具・通信費込み)で利用可能。アルバイト紹介により生活費をまかなえる収入が見込めるなど、手厚い支援が整備されている。
「日系人の子どもたちが目指すべきロールモデルを育成することで、さまざまなハンディキャップを克服できる」と期待を込める同学園は、今後も多文化共生を視野に入れた教育活動を推進する方針だという。日本と世界を結ぶ架け橋となる人材の育成を目指し、さらなる挑戦を続けていく。
詳細は学校法人メイ・ウシヤマ学園(ハリウッド大学院大学、ハリウッド美容専門学校)、電話(東京=03・3408・5020、川島鋼太郎国際交流センター長(kawashima@hollywood.ac.jp)まで。