「ポメローデは観光地としての美しさ、木骨造りの家々、人々の肌の色、その組み合わせを持って、私たち全員にとっての象徴的な存在として際立っている」―15日、ブラジル南部サンタカタリーナ州のジョルジーニョ・メーロ州知事(自由党・PL)が、同州ポメローデ市で開催された「第40回ポメラーナ祭り」の開会式中のスピーチで発言したこの言葉が、差別的としてSNS上で波紋を呼んでいる。ポデール360(1)やテーラ(2)など現地メディアが報じた。
「ブラジルで最もドイツ的な町」と呼ばれるポメローデ市で開催された同イベントは、市が主催するゲルマン文化を祝す伝統的な祭りだ。同市はブラジルで最もドイツ系移民の子孫が集中して暮らす町として有名だ。人口は3万4289人で、ブラジル地理統計院(IBGE)は80%が白人系とする。
同市はドイツ系移民の歴史的影響が強く、レンガや石材、木材で作られたドイツ式の建物が残されている。これら大切な文化遺産は主な観光資源となっている。地元住民の大部分はポルトガル語に加えて、標準ドイツ語に非常に近いドイツ語を話すが、ポメローデの人々の大多数の本来の言語はポメラニア語だ。
ポメローデ市は州都フロリアノポリスから170km離れており、同じくドイツ系移民が多く、オクトーバーフェスタが開催されるとして有名なブルメナウ市と隣接している。
ポメラニアはドイツとポーランドにまたがる地域を指し、同地域に居住するポメラニアンはドイツ民族の中では少数派だった。第2次世界大戦の終結により、ポメラニアの大部分はポーランドに併合され、メクレンブルク・西ポメラニアと呼ばれるごく一部のみがドイツに残った。多くのポメラニアンは東ドイツに避難するか、他の国に移住し、言語や習慣を失った。そのため、ブラジルにはドイツ本国よりも古代ポメラニアン語を話す人が多いという。
このような背景から、ジョルジーニョ知事の言う『人々の肌の色』は白人のことを比喩した発言だと指摘され、問題発言となった。
今回のジョルジーニョ州知事の発言はインターネットユーザーや政治家らから「人種差別的でナチス的」と批判を浴びている。サンタカタリーナ州のPSOL(社会主義自由党)は、州知事の発言を人種差別的犯罪行為として、連邦検察署に告発書を送った。
ロドリゴ・サルトチPSOL弁護士はX上で「ポロメーデはドイツ系移民の街であり、人々の肌が際立っていると発言した」と投稿。
同州のレオネル・カマスサン議員(PSOL―SC)も自身のXで「私たちPSOL―SCは、連邦検察庁(PGR)に対し、ジョルジーニョ・メーロ州知事が人種差別行為を行ったと告発した。PGRが一般犯罪扱いで起訴し、最高裁判所が裁判を行うだろう」と発言した。
それに対し、ジョルジーニョ州知事は「人種差別は犯罪行為である。PSOLが私のポメラーナ祭りで発言したことに対して人種差別だと告発したことをとても遺憾に感じる。私は人種差別者ではない。法の下、適切な処置が下ることを願う」とX上で語った。
ポデール360やテーラは、ジョルジーニ州知事に取材を申し込んだが返事が返ってこなかった。