世界最大級の淡水魚ピラルクー 丸焼きを食す

 世界最大級の淡水魚の一つ「ピラルクー」。日本ではアマゾン川に生息する巨大魚として、水族館で見ることができる。
 実はピラルクーはとても美味で、食用として優れていると聞き、食べてみたかった。サンパウロ水族館では、たくさんのピラルクーが見られるが、泳いでいる姿も美味しそう、と思ってしまった筆者は、ちょうど大人数が集まる会合があり、ピラルクー1匹の丸焼きを、注文してみることにした。
 サンパウロ市ビラマリアーナにある川魚料理専門店「ランショ・リオ・ドッセ(Rancho Rio Doce)」では、10営業日前から、予約を受け付けている。我々は、17kgのピラルクーを注文した。
 「ピラルクーのバナナ葉包み焼き」は、中にファロッファ(マンジョッカ粉)を詰めて、炭火でじっくり、5〜6時間かけて焼き上げる、時間と手間がかかる料理だ。
 味付けは自社オリジナルの塩のみだそうだが、バナナの葉の香りが移るのと、包み焼でうまみを逃さないせいか、それだけでおいしい。川魚特有の臭みがあるかと思ったが、あっさりしていて白身魚のよう。付け合わせに、ピロンという魚介風味のマンジョッカ粉のあんかけ、ヴィナグレッチ、ご飯もついてくるので、味変して食べることもできる。
 同店のオーナー、坂口功治さんが「このピラルクーは、養殖です。一年半から二年ぐらいでこの大きさになります。ピラルクーは、刺身にしてもいいし、焼いてもいいし、煮込んでも美味しい、三冠王です」と説明しながら切り分けてくれる(ぜひブラジル日報のサイトで動画をご覧ください)。
 調べてみると、ピラルクーは、最大のものは3メートルにもなるそうだ。一時は食用のための乱獲で絶滅が危ぶまれていたそうだが、保護活動などが功を奏し、大幅に数が増えているうえ、今では養殖も行われている。ブラジルにいると、その食の多様性と豊かさを、しみじみと感じる。日本は食料自給率が低く、鶏肉やオレンジジュースなど多くの食材をブラジルから輸入しているが、将来的にはピラルクーもその一つとして見かける日が来るだろうか。(公)

ピラルクーの説明をする坂口功治さん

最新記事