就任式出席のミシェレ夫人=大統領選に向け影響力拡大

トランプ氏就任前夜の夕食会に参加したミシェレ・ボルソナロ氏(左)とエドゥアルド・ボルソナロ下議(右)(ミシェレ氏のインスタグラム@michellebolsonaro)
トランプ氏就任前夜の夕食会に参加したミシェレ・ボルソナロ氏(左)とエドゥアルド・ボルソナロ下議(右)(ミシェレ氏のインスタグラム@michellebolsonaro)

 18日、ジャイール・ボルソナロ前大統領(自由党・PL)の妻ミシェレ・ボルソナロ氏がドナルド・トランプ大統領就任式に出席するため、ワシントンに飛んだ。招待された前大統領が出国を禁じられているため、ミシェレ氏がその代理として参加することになった。
 この動きは、彼女が2026年ブラジル大統領選において重要な政治的役割を果たす可能性を示唆しており、特に彼女が夫の後継者として副大統領候補に名を連ねる可能性も浮上していると見られている。ジャーナリストのデニーゼ・ローテンブルギ氏が、ミシェレ氏の政治的立場変化に関する分析コラムを19日付コレイオ・ブラジリエンセ(1)に投稿した。
 米国に到着したミシェレ氏は、ボルソナロ氏の三男エドゥアルド下議(PL)とともに19日、同じく就任式に参加したアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領と会談を行い、意見交換を行った。(2)ミレイ氏は18日に行われた関連イベントの席上で「ボルソナロは私の偉大な友人であり、ルーラ政権(労働者党・PT)が彼を来させなかったことをとても残念に思っている」と明言した。(3)
 ミシェレ氏は、米国のファーストレディに返り咲いたメラニア大統領夫人と会談を行う可能性がある。両者の関係者は、トランプ夫妻とボルソナロ家との関係強化を目的とした会合の調整が進められているという。(4)
 ローテンブルギ氏によると、ミシェレ氏の米国訪問は、彼女の政治的進展を象徴し、特に2026年大統領選を見据えた戦略と見ている。元々ミシェレ氏の選挙戦のプランは、ブラジリア連邦区からの上議候補としての立候補であった。
 だが、ボルソナロ氏が被選挙権を剥奪されたままの場合、ボルソナロ派大統領候補の副候補に彼女がなり、夫の存在感を強化するシナリオも現実味を帯びてきている。このような展開においてミシェレ氏は党内で重要な役割を果たすことが期待されている。
 議員であるボルソナロ氏の息子らは政局論争に巻き込まれて拒絶率も高い中で、ミシェレ氏は中道層、特に女性層を中心に支持を集める力があると見込まれている。この点に関して、PL党の党首ヴァルデマール・ダ・コスタ・ネト氏は、ミシェレ氏が政治家としての手腕とカリスマ性を持っていると評価し、彼女が将来的に党の中で重要な役割を果たす可能性が高いと述べている。
 彼女の政治家としての資質が注目される一方で、ボルソナロ氏自身は26年大統領選挙に向けてPL党の候補者を決定する権限を維持する意向を示しており、ミシェレ氏の将来の政治的道筋がどのように展開するかは、今後の状況に依存している。
 ボルソナロ前大統領は、トランプ氏との親密な関係を強調しており、この関係を被選挙権回復のために利用しようとしている。だがトランプ大統領の優先事項は、自国の経済問題や中東問題、中国との関係、ロシア・ウクライナ戦争などであり、ブラジルの問題は含まれていない。このため、ボルソナロ氏の再選戦略に対するトランプの影響には限界があるとも見られている。

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